2016 Fiscal Year Research-status Report
超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診による膵腫瘍と膵嚢胞におけるエクソソームの解析
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16K09412
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
西村 誠 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (50751707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅史 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (80393114)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エクソソーム / 膵癌 / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は膵腫瘍または膵嚢胞性腫瘍の疑いでEUS-FNA(超音波内視鏡下穿刺術)を実施する症例の血液および嚢胞液から単離したエクソソームのプロテオーム解析を行い、エクソソームで発現変化を示すタンパクを同定した後に、多数の患者検体を用いてその疾患特異性を確認する。さらに、ヒト膵臓癌細胞を用いた実験により、エクソソームで発現変化を示したタンパクが細胞内で増殖、浸潤能、転移能等に及ぼす影響を明らかにし、患者の血液・嚢胞液を用いた膵腫瘍・膵嚢胞性腫瘍のエクソソーム診断を目指している。本年度は以下のことを行った。 【①体採取と保存】 6検体の採取と保存を行った。 【②膵臓癌細胞エクソソームの単離とプロテオーム解析】4種の膵臓癌細胞(PANC-1、PK-1、PK-8、KLM-1)の培養上清から超遠心法によりエクソソームを精製した。精製したエクソソームをiTRAQ標識による定量プロテオーム解析を行い、353個のタンパク質を同定した。その中からより悪性度の高い細胞で発現が変化する候補タンパク質を選定した。 【③血清からのエクソソーム精製】血清からエクソソームを精製する方法として、よく用いられている超遠心法、密度勾配法、ゲル濾過法などを行うと、血清中に多量に存在するタンパク質が多数混入してくることがわかった。そこで、血清中のタンパク質を抗体カラムにより除去する方法を試みたが、やはり多数の血清タンパク質の混入が認められ、さらなる改良が必要と判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに6検体を採取し、凍結保存した。エクソソームの解析については膵癌細胞の培養上清から超遠心法によりエクソソームを精製し、プロテオーム解析を行うことでエクソソーム上の標的タンパク質の候補を得ている。血清からのエクソソーム精製は多数の血清タンパク質の混入が見られるため、複数の精製法を組み合わせるなどの従来法からの改良が必要であることが分かった。以上のことからおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
検体採取は引き続き行う。膵癌細胞エクソソームのプロテオーム解析結果から見出されてきたタンパク質が膵癌患者の血清や嚢胞液で変化するかを調べ、マーカーとして使用可能かを判定する。また、そのタンパク質の役割を解明するため、膵癌細胞にsiRNAを導入することでタンパク質発現を抑制し、細胞の増殖・浸潤・転移能に与える影響を見る。血清中エクソソームの高純度回収は、いくつかの方法を組み合わせるなど、現状の方法を改良し、より精製度の高いエクソソームを得ることを試みる。
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Causes of Carryover |
エクソソーム抽出に際し蛋白の混入を認めたために学会発表や論文化を積極的に行うデータに至っていない。次年度はさらに精度を上げる予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表、旅費、備品購入。論文作成を計画している。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] エクソソーム上γ-グルタミルトランスフェラーゼ活性の前立腺がんと前立腺肥大の鑑別における有用性2016
Author(s)
川上恭司郎, 藤田泰典, 松田陽子, 新井冨生, 堀江憲吾, 亀山紘司, 加藤卓, 桝永浩一, 粕谷豊, 田中雅嗣, 水谷晃輔, 出口隆, 伊藤雅史
Organizer
第39回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
Year and Date
2016-11-30 – 2016-12-02
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[Presentation] Exosomal gamma-glutamyltransferase activity as a marker for prostate cancer.2016
Author(s)
Ito M, Kawakami K, Fujita Y, Matsuda Y, Arai T, Horie K, Kameyama K, Kato T, Masunaga K, Kasuya Y, Tanaka M, Deguchi T, Mizutani K.
Organizer
2016 ASEMV annual meeting
Place of Presentation
Monterey(アメリカ合衆国)
Year and Date
2016-10-20 – 2016-10-24
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