2017 Fiscal Year Research-status Report
上方の遅伝導路による房室リエントリー性頻拍の診断法とアブレーション治療法の開発
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16K09418
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金古 善明 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (60302478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 忠 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (40510574)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 房室結節リエントリー性頻拍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、発作性上室性頻拍症のなかでも、我々が発見した上方の遅伝導路を介する房室結節性頻拍の全容を解明し、本頻拍の新たな電気生理学的診断法、アブレーション治療法を開発することを目的としている。我々はこの1年間に順調に症例の蓄積を行い、本頻拍の速遅型を総計16例、遅速型を3例の症例を経験した。 速遅型においては通常の速遅型と異なる特異な電気生理学的特性について明らかにし、現在すでに論文を投稿中である。特に下部共通路の伝導性が低下していること、二重心房反応が高率に誘発されること、は心房頻拍との鑑別診断において有益な情報となり、これによりより一層の診断精度の向上が期待できる。また、上方の遅伝導路の走行・分布には当初予想されていた以上に多様性があることが判明してきており、従来心房頻拍と診断されていた症例の中にさらに特異な速遅型が含まれていることが明らかとなった。これと関連して上方の遅伝導路の基質は房室結節組織のみならず、房室弁輪舞に存在する移行細胞がその一部を構成している可能性が解ってきた。現在、論文の準備中であるが、これらの知見は本頻拍の亜型の診断の向上のみならず難治例における新たな治療戦略に寄与するものと予想される。 遅速型においては、従来の予想以上に稀な頻拍ではないこと、我々の開発した電気生理学的手法によりある程度診断できる可能性があるがその限界があることも明らかになりつつある。特に本頻拍に対するアブレーションでは、遅伝導の部位を示す指標が存在しないために治療困難例に遭遇している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
診断精度の向上により、より多くの症例を診断・治療できるようになったためと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点において特に問題は見当たらないので、次年度以降も同様の研究計画を施行する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)目標とする症例数に満たすため、引き続き症例の集積を行う必要がある。 (使用計画)次年度以降も同様に研究計画を遂行する予定である。
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