2018 Fiscal Year Research-status Report
心疾患における局所鉄代謝変化の解析と臨床応用への検証
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16K09420
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
塙 晴雄 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (40282983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏村 健 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (70419290)
南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄関連蛋白 / ヘプシジン / 心疾患 / NGAL / 人工心肺 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘプシジンは主に肝臓で分泌される鉄代謝の主要なホルモンである。また、NGALは細菌と宿主細胞との鉄の移動に関わる蛋白である事が知られている。以前我々は、ヘプシジンやNGALの発現が、心筋炎や心筋梗塞の時の傷害心筋細胞で亢進することを報告した。一方、鉄過剰状態あるいはSIRSを惹起する人工心肺装着時にも心臓は傷害を受けることが知られている。 今回我々は、鉄過剰状態、人工心肺の装着時にこれらの鉄関連蛋白がどのように変化するかを検討した。ラットの腹腔内にiron dextran 100mg/kgを計4回腹腔内投与し、肝臓および心臓を組織学的に検索し、またヘプシジンの発現を定量的RT-PCRで測定した。さらにラットに人工心肺を2時間装着し、肝臓および心臓で同様にヘプシジン、NGALの発現を定量的RT-PCRで測定した。 鉄過剰モデルでは、肝臓および心臓のマクロファージにヘモジデリンの沈着がみられたが、ヘプシジンの発現は肝臓でのみ増加していた。一方、人工心肺モデルでは、肝臓、心臓伴にIL-6やMCP-1などの炎症マーカーが増加したが、ヘプシジンの発現は心臓でのみ増加しており、NGALも心臓で発現が亢進していた。今までの検討で、心臓でのヘプシジン、NGALの発現亢進は、炎症マーカーの発現亢進に伴って生じることが多いと考えられた。 鉄関連蛋白は、抗菌作用を持ち、心筋保護作用あるいは逆に心筋傷害作用も示唆されていることから、心疾患のバイオマーカーやそれをターゲットとした新たな治療薬となる可能性がある。 また今回、サルコペニアをきたす心筋炎モデルの骨格筋で鉄代謝関連蛋白であるマイオネクチン/エリスロフェロンを定量的RT-PCRで調べたところ、その発現が低下している所見がみられた。心疾患では心臓局所だけではなく、骨格筋も鉄代謝に密接に関係しているホルモンが変化している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトの心筋炎を含めた心筋疾患22例の検討で、ヘモジデリンの沈着が全く認められなかった。正常磁性酸化鉄(リゾビスト)の投与によって、正常心と病的心をより鮮明に区別できると考えられるリゾビストの投与量をラットの心筋炎モデルで検討してみたが、鮮明に区別できる量を見いだすことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
心疾患において、鉄代謝関連蛋白の発現は心臓だけでなくサルコペニアをきたす骨格筋でも変化する可能性が考えられた。今後は骨格筋での鉄代謝関連蛋白であるマイオネクチン/エリスロフェロンの検討をしていく予定である。
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