2016 Fiscal Year Research-status Report
急性心筋梗塞患者におけるMuse細胞動員の動態と左室リモデリングへの関与
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16K09427
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 俊樹 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40623426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊口 信也 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20190697)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Muse細胞 / 急性心筋梗塞 / S1P / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究開始より当院へ救急搬送された急性心筋梗塞患者の内、87症例について研究参加への同意を文書にて取得した。計画書通りに血液検査を行い、末梢循環血液中のMuse細胞数をFACSを用いて測定した。 発症当日のMuse細胞数は146.2±10.5/100μL(mean±SE)であるのに対し、1日目には242.9±21.9/100μLと有意に上昇した。その後徐々に減少し、発症より14日目に元の数へ戻っていた。さらに、急性心筋梗塞患者の対象として、冠動脈病変のないコントロール群64症例と冠動脈に狭窄病変を有するものの、心筋梗塞には至っていない冠動脈疾患群44症例についても同様に文書で同意を取得し、Muse細胞数の測定を行ったが、コントロール群164.1±15.7/100μL、冠動脈硬化患者群167.2±13.4/100μLであった。急性心筋梗塞患者においては、経過中の最大Muse細胞数とで比較すると280.5±17.2/100μLであり、他の群に比べ有意に上昇していた。 この結果より、急性心筋梗塞を発症すると末梢循環血液中にMuse細胞が動員されることが証明できた。 同様にS1P濃度の測定も並行して行った。Muse細胞数と同様に急性心筋梗塞発症時のS1P濃度は152.7±9.8ng/mLであるのに対し、翌日には166.5±9.9ng/mLと上昇し、発症14日目には元に戻っていた。コントロール群120.7±6.7ng/mL、冠動脈疾患群133.3±13.7ng/mLに対して急性心筋梗塞群の最大S1P濃度は197.8±9.5ng/mLと有意な上昇を認めた。 全症例において、Muse細胞数とS1P濃度を比較検討すると、有意に正の相関関係が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
比較的多くの患者に同意を取得することができ、Muse細胞およびS1P濃度の測定が可能であった。検査結果より、当初予測していた通り、急性心筋梗塞発症により、Muse細胞およびS1P濃度が増加することが証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
急性心筋梗塞発症急性期については、予測していた通りのデータが収集出来た。次に急性心筋梗塞慢性期の状態について評価を行う。具体的には心臓超音波検査を行い、左室九出率、左室拡張末期径、収縮末期径の測定を行い、急性期の心臓超音波検査結果と比較検討する。
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