2016 Fiscal Year Research-status Report
遺伝要因と環境要因による急性心筋梗塞発症、進展、再発リスクの臨床的・基礎的検討
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16K09446
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
掃本 誠治 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (30535638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花谷 信介 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40755443)
有馬 勇一郎 熊本大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (60706414)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 急性心筋梗塞 / 遺伝子多型 / ヘリコバクター・ピロリ / インターロイキン |
Outline of Annual Research Achievements |
インターロイキン-1β遺伝子多型とピロリ菌の感染は胃での炎症を増悪させることが報告されている。今回、ピロリ菌感染、喫煙の環境因子と炎症に深く関与するインターロイキン-1β(IL-1)遺伝子多型の遺伝因子による、急性冠症候群の発症、心血管イベントリスクを検討した。インターロイキン1(IL-1)遺伝子多型は、IL-1β 511 T alleleあるいはIL-1RN*2 allele保有と定義した。 ①まず急性心筋梗塞82例と対照群82例による症例対照研究では、急性心筋梗塞ではピロリ菌+インターロイキン1遺伝子多型陽性が45%で対照の19%に比し有意に高値であった。急性心筋梗塞、対照群の両群において、ピロリ菌+IL-1遺伝子多型陽性群は、Endo-PATは有意に低値で、高感度CRPは有意に高値であった。 ②急性冠症候群(ACS)253例の検討では、ヘリコバクター・ピロリ陽性は44.3%、IL-1 beta-511 C/C, C/T, T/Tの比率は、それぞれ30.4%,、45.6%、24.0%だった。また、IL-1RN *2 alleleの頻度は13.7%だった。この急性冠症候群をピロリ陽性かつインターロイキン-1遺伝子多型かつ現在喫煙群(21例)とそれ以外群(232例)に分けて、3年間の心血管イベントを比較すると、3因子陽性群で有意にイベント率が高値であった(Log rank P=0.012)。以上より、ピロリ菌感染とIL-1遺伝子多型に喫煙が加わることで、心血管イベント再発リスクが高値が判明した。 ③ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)と、それ以外のACSで区別すると、STEMIではピロリ菌+IL-1遺伝子多型の割合が有意に高値であった。さらにその2因子に現在喫煙を加えた3因子の割合は、STEMIの77%にみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熊本地震が平成28年4月に発生し、対応に追われたため、研究の進捗状況はやや遅れている。特に、熊本地震後、相次ぐ余震で車中泊が多くみられ、エコノミークラス症候群が社会問題化し、その予防啓発活動に対し、日本循環器学会、日本静脈学会等の学術団体からの支援、地元医療機関、行政(熊本県、熊本市、厚生労働省)との連携で、熊本地震血栓塞栓症予防プロジェクト:Kumamoto Earthquakes thrombosis and Embolism Protection(KEEPプロジェクト)を行った(代表 掃本誠治)。熊本県民にとっては、緊喫の問題であったため、こちらが優先されたためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヘリコバクター・ピロリ菌感染が、遺伝要因や喫煙の環境要因と相俟って、急性冠症候群の発症、心血管イベントリスクに、関連している可能性が考えられた。このため、ピロリ除菌の有無による前向き研究を行い、遺伝子多型との関連を解析する。ただ、モニタリングにおいて、一症例あたり、約2万円の費用負担があり、症例数を絞らざるを得ない。
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Causes of Carryover |
熊本地震が平成28年4月に発生し、対応に追われたため、研究の進捗状況はやや遅れている。特に、熊本地震後、相次ぐ余震で車中泊が多くみられ、エコノミークラス症候群が社会問題化し、その予防啓発活動に対し、日本循環器学会、日本静脈学会等の学術団体からの支援、地元医療機関、行政(熊本県、熊本市、厚生労働省)との連携で、熊本地震血栓塞栓症予防プロジェクト:Kumamoto Earthquakes thrombosis and Embolism Protection(KEEPプロジェクト)を行った(代表 掃本誠治)。熊本県民にとっては、緊喫の問題であったため、こちらが優先されたためやや遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前向き研究として、ヘリコバクター・ピロリ早期除菌群と晩期除菌群の2群による、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の心血管イベントリスク評価試験を予定している。登録症例ごとにモニタリングの経費がかかるので、それに使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Helicobacter Pylori-seropositivity along with genetic and environmental factors predicts clinical outcome after acute coronary syndrome2016
Author(s)
Noriaki Tabata, Seiji Hokimoto*, Tomonori Akasaka, Daisuke Sueta, Yuichiro Arima, Kenji Sakamoto, Eiichiro Yamamoto, Yasuhiro Izumiya, Megumi Yamamuro, Kenichi Tsujita, Sunao Kojima, Koichi Kaikita, Kazunori Morita, Kentaro Oniki, Junji Saruwatari, Kazuko Nakagawa, Hisao Ogawa
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Journal Title
International Journal of Cardiology
Volume: 212
Pages: 54-56
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Helicobacter pylori-seropositivity along with pro-inflammatory interleukin-1 polymorphisms correlated with myocardial infarction2016
Author(s)
Noriaki Tabata, Seiji Hokimoto*, Tomonori Akasaka, Daisuke Sueta, Yuichiro Arima, Kenji Sakamoto, Eiichiro Yamamoto, Yasuhiro Izumiya, Megumi Yamamuro, Kenichi Tsujita, Sunao Kojima, Koichi Kaikita, Kazunori Morita, Kentaro Oniki, Junji Saruwatari, Kazuko Nakagawa, Hiroshige Yamabe, Kunihiko Matsui, Hisao Ogawa
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Journal Title
Clinical Trials and Regulatory Science in Cardiology
Volume: 17
Pages: 9-14
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Helicobacter pylori Seropositivity in Patients with Interleukin-1 Polymorphisms Is Significantly Associated with ST-Segment Elevation Myocardial Infarction2016
Author(s)
Noriaki Tabata, Daisuke Sueta, Tomonori Akasaka, Yuichiro Arima, Kenji Sakamoto, Eiichiro Yamamoto, Yasuhiro Izumiya, Megumi Yamamuro, Kenichi Tsujita, Sunao Kojima, Koichi Kaikita, Kazunori Morita, Kentaro Oniki, Junji Saruwatari, Kazuko Nakagawa, Seiji Hokimoto*
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 11
Pages: e0166240
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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