2017 Fiscal Year Research-status Report
新世代冠動脈デバイスの血管機能に及ぼす効果及びその臨床における意義についての研究
Project/Area Number |
16K09473
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
圓谷 隆治 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (30599882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 潤 東北大学, 大学病院, 講師 (00375081)
下川 宏明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00235681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 倫理委員会申請 / 後ろ向き観察研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の背景にある第二世代薬剤溶出性ステントを留置した患者における冠攣縮について、長時間作用型カルシウム拮抗薬ニフェジピンの長期内服が抗炎症作用を介して第二世代薬剤溶出性ステント留置後の血管機能異常を改善させることを、多施設前向き無作為割り付け臨床研究で証明し、論文をEuropean Heart Journalに投稿しacceptされ2016年に公表されました。この結果から長時間作用型カルシウム拮抗薬ニフェジピンにより薬剤溶出性ステント留置後の胸痛が改善させられる可能性が示唆されましたが、薬剤溶出性ステント自体が血管機能異常を引き起こし、ステント留置後の狭心症状に寄与していることも示唆されます。この原因としてステントの薬剤の塗布に必要なポリマーが炎症を惹起し、血管機能異常を引き起こしやすくする可能性が報告されています。以上からステント留置による血管機能の異常が起こりにくいステントが期待され、現在市販されている生体吸収性ポリマーステントがその期待に応える可能性があり、本研究により証明できればステント留置後の胸痛を抑制でき、またカルシウム拮抗薬の追加が不要となり医療費の削減にもつながることが期待されます。 現在本研究を開始するにあたり、当施設の倫理委員会に研究計画書を申請しプロトコールについて審議を重ねています。倫理委員会より非無作為化の観察研究での承認を頂きましたが、後ろ向き観察研究結果などをもとに、前向き非無作為化試験の申請を行い受理され次第、対象患者の登録を開始し、無作為に割り付けステントを留置し、ステント留置後の血管機能の異常を比較するため慢性期にアセチルコリン負荷試験を行う予定です。当院での過去のステント留置の件数から、対象となる患者は研究拒否などを見積もっても年間50名程度の登録が見込まれます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を開始するにあたり、当院の倫理委員会に研究計画書を申請したところ、倫理委員会より非無作為の観察研究での条件付き承認をいただきました。この結果により我々の施設でステントを留置され、その後も胸痛がありアセチルコリン負荷試験を行った症例を対象に、後ろ向きに血管反応を解析し、ポリマー吸収性ステントと非吸収性のステントでの比較を解析中です。この結果を元に、前向き無作為割り付け試験を開始できるよう再度倫理委員会に申請する予定でございます。 また生体吸収性スキャフォールドがその使用成績から日本での販売が認可されず、使用できないため、生体吸収性スキャフォールドを用いた臨床試験は断念せざるを得なくなりました。
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Strategy for Future Research Activity |
生体吸収型スキャフォールドが使用できない現状では、エベロリムス溶出性ステント(第二世代薬剤溶出性ステント)と生体吸収性ポリマーステントとの2群比較の研究のみに変更することにしました。倫理委員会より観察研究を推奨されましたため、まずは後ろむき観察研究を行い、その後に患者背景の違いなどによる結果の相違を払しょくするために、当初の予定通り前向き無作為化試験を開始できるように、倫理委員会と審議を重ねていく予定です。
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Causes of Carryover |
設備品購入を検討していたが、情報収集のための旅費執行を優先した。次年度は、海外学会および国内学会での発表を複数回予定しており、繰り越し分と併せて執行する予定である。
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