2016 Fiscal Year Research-status Report
miRNAの膠原病性肺動脈性肺高血圧症のバイオマーカとしての有用性と役割の解明
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16K09474
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
江口 正倫 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70585405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 聡司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (10336159)
前村 浩二 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90282649)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 膠原病性肺高血圧症 / micro RNA / biomarker |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度では、膠原病性肺動脈肺高血圧症(CTD-PAH)の血中で高く、肺循環で上昇したmiRNA-Aついて検討した。(CTD-PAH症例の肺組織で上昇し、血液中に分泌されたmiRNA) a) miRNA-Aは膠原病(CTD)患者、コントロール患者と比較して、CTD-PAH患者の血清中で有意に高値であった。さらにmiRNA-A は平均肺動脈圧(mPAP)と相関し、また肺循環での増加率とmPAP とが相関していた。 b) 次に、miRNA-A の標的遺伝子の探索を行った。Target Scan などソフトを用い候補となるmessenger RNA(mRNA) をpick upし、また、miRNA-A 導入群とNegative control 導入群の平滑筋細胞からmRNAを採取しarrayをもちいて、発現量を比較した。その結果、標的となるmRNA として、アポトーシス促進するタンパク質であるBAK-1がその一つであることが示唆された。 実際、miRNA-A導入群ではBAK-1のmRNAの発現量、タンパク質の発現量が低下していた。現在、miRNA-A がBAK-1の3`UTRを直接阻害しているか、ルシフェラーゼアッセイにて、確認中である。 c) miRNA-A を平滑筋細胞に導入し、生物学的活性(増殖能、抗アポトーシス能)を評価した。miRNA-Aは平滑筋細胞の増殖能を上昇させ、抗アポトーシス能を高め、平滑筋細胞の増殖に関与し、PAHを増悪している可能性が示唆された。 d) miRNA の治療薬としての有用性を検討するため、PAH モデルマウス(マウスを10%の低酸素下で飼育しPAH モデル 低酸素モデル)を作成した。1 ヶ月後、右心室圧測定、心臓、肺を採取し、病理学的な評価を行い、肺動脈の肥厚があり、PAHの病態を呈していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の方針としては(Ⅰ)CTD-PAH のバイオマーカとしての有用性について以下の項目を検討する予定としていた。 a)バイオマーカとしての有用性の確立。b)miRNA-A の標的遺伝子の探索。c)miRNA-A を平滑筋細胞に導入し、生物学的活性(増殖能、遊走能)を評価する。現在の所 a)~c)までは進めることができた。CTD-PAH の血清で高く、体循環で増加するmiRNA-B について検討(CTD-PAH 症例の体循環で上昇し肺組織に取り込まれPAH に影響を及ぼしたmiRNA)。これまでのmicro array の結果、約10 個の候補となるmiRNA を検出した。こちらのmiRNAについては十分な検討が出来ていない。H29年度の研究予定であった、d)miRNA の治療薬としての有用性について以下の項目を検討する。PAH モデルマウス(低酸素モデル)を作成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては予定どおり、(Ⅰ)継続して症例数を増やしていく(Ⅱ)miRNA の治療薬としての有用性を検討する。 PAH モデルマウス作成し、a)PAH モデルマウスでの肺組織、血液中のmiRNA-A の発現状況を検討する。肺組織、血液中で増加するのであれば、増加時期を検討する。b)実際にmiRNA が上昇してくる早期に従来のPAH 治療薬を使用して良いアウトカムが得られるのか動物モデルを用いて検討して行く。c)miRNA-A あるいはB を強制発現させたマウス(mimicRNA 投与など)を低酸素に暴露し、PAHの増悪効果を検討する。またmiRNA-A あるいはB を抑制したマウス(antagomiR 投与あるいはノックアウトマウス)でPAH の抑制効果を確認する。
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