2016 Fiscal Year Research-status Report
大規模検診から高浸透率家系を抽出する新しい高血圧遺伝子同定法の確立
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16K09475
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 義之 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (00573023)
赤崎 雄一 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (00631920)
吉満 誠 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70404530)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大規模健診データ / 高血圧 / 尿酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人口流出・移入が少ない鹿児島県で大規模に検診を行なっている鹿児島厚生連病院検診センターのデータ(約40万件)を解析して、高血圧浸透率の高い家系を見つけ出し、詳細な生活習慣を聴取しながら、次世代シーケンサーを用いたホールゲノム解析を行なって疾患感受性遺伝子を同定して、この健診データを用いてvalidationを行なうことにより真の高血圧発症候補遺伝子を同定することを目的としている。この健診データは離島を含む鹿児島県のほぼ全域より18歳から90歳以上までの幅広い年齢層を網羅し、7万人強が24年間毎年検診を受診しており、JAが母体であるため家族・親戚で検診を受けているケースや小さな離島は住民全員が受診しているケースも多く生活習慣、特に食事状況を非常に細かく把握しているという特徴がある。以上の特性を生かすことにより、高血圧というコモンディジーズが高い浸透率で存在している家系を見つけ出すことが可能であると考えており、また生活習慣などが家族内で違う場合の把握も容易に出来る。このデータベースより高血圧発症を24年間のレトロスペクティブコホートで選び出し、さらに家族内浸透率の高い家系を見つけ出して、生活習慣などを正確に分析した後に、末梢血より遺伝子を抽出して次世代シーケンサーを用いて網羅的解析をして候補遺伝子を絞り込むことが本研究の概要である。まず本年度は尿酸と心房細動発症との関連について検討しながらデータベースクリーニングを行った。様々な角度でクリーニングを行った結果2017年2月にデータ固定した。なお、その間に尿酸と心房細動発症に関する横断研究と縦断研究の2報の論文作成をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膨大なデータ量(40万件で1件あたり1000項目以上)のため、あらゆる角度からのデータクリーニングが必要であった。健診受診者にデータをして手渡しをしているので、思ったより入力ミスなどは少ない印象ではあった。効率的にデータクリーニングをするために、高血圧に直接的には関係ないものを選んで横断研究と縦断研究を行った。横断研究では高尿酸血症は他の危険因子と独立して心房細動の有病率と関連して、特に女性でその傾向が強かった。(Kawasoe S, Ohishi M et al. Uric Acid Level and Prevalence of Atrial Fibrillation in 285,882 Japanese General Population. Cir J 2016; 80(12): 2453-2459.)また、縦断研究では女性においてのみ尿酸高値が将来の心房細動発症の危険因子となることが示唆された。(第83回日本循環器学会。論文作成中) 現在は血圧をメルクマールにしたデータ解析をしているところであるが、個人情報の関係上、データベースにどの情報(住所に関して都市名、町名、字など)を入れるかを厚生連病院と協議中である。
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Strategy for Future Research Activity |
健診受診者の家族歴を絞り込むのには住所情報をどこまで入れられるかが鍵となる。これに関しては個人情報保護法が2017年5月30日に改正施行されることが大きな鍵となっている。厚生連病院および鹿児島大学の倫理委員会と協議の上で、適切な処理をしていく必要がある。遺伝子解析をするために適切な絞り込みが個人情報保護法の関係上できない場合には、他の方法を考える必要がある。具体的には高血圧患者が多い離島を健診データで絞り込み、巡回検診(直接離島に行って健診を行う)に同行して、インフォームドコンセントをしっかりと行った後に家族歴や遺伝子採取などを行い、解析をする。
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Causes of Carryover |
データ入力が遅れており、入力補助員の雇用ができていないため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ入力補助員の雇用
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Research Products
(1 results)