2016 Fiscal Year Research-status Report
新規高血圧遺伝子ATP2B1と頸動脈硬化症進展への病態解明と治療戦略の開発
Project/Area Number |
16K09477
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
谷津 圭介 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (10457856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 敏 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (00128589)
平和 伸仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20315766)
岡 晃 東海大学, 付置研究所, 講師 (80384866)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / CAVI / ATP2B1遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は共同研究施設である小林内科クリニック(院長 小林英雄先生、横浜市泉区中田南2-2-2)に生活習慣病で通院中の患者のうち、CAVI検査(Cardio Ankle VascularIndex:心臓から大動脈、足首までの動脈の硬さを反映し、血圧に依存されない血管固有の硬さも反映する)を施行した患者約1300名から口腔粘膜や血液からDNAの採取を完了した。DNAに関しては、qualityチェック及び、量の確認を行い、1139検体において実験に問題ないことを確認した。残り161検体に関してqualityや量的問題で解析が行えなかった。 そして我々が同定した新規高血圧感受性遺伝子ATP2B1の既報にある12個のSNPsをタイピングした。SNPタイピングの方法は、Agena Bioscience社のMassARRAYシステムを用いて行った。全1139検体のCall rateは99.9%と非常に高かった。 現在、血圧、脂質や糖尿病プロフィール、CAVI値などとの関連を統計学的に解析中である。実際のタイピングデータに加え、HapMapデータ及び1000genomeを利用したimputation法を用いてSNPデータの補完を行っている。 上記解析により、ATP2B1遺伝子と動脈硬化の程度を表すCAVI値、薬剤や暴露要因を総合的に検討し、ヒトにおける動脈硬化進展の交絡要因を除去した解析を行い、次年度以降の解析に繋げる。 また、次年度以降の解析に備えてATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的ノックアウトマウスと全身ヘテロマウス、及び、ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的過剰発現マウスの継代飼育を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載し平成28年度の研究実施計画通りに進んでいる。 診療データ等が不足しており、実際に収集した約1300名(内、解析した1139名)の検体は、予定した患者1500名には届かなかったが、十分統計学的解析に足りうる人数であり問題ない。 また、診察、同意を得てから実際にDNA採取するのは次回の診察になるタイムラグが生じたため、検体採取に若干の遅れが生じ、データ解析の終了まで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記SNPタイピングによる結果に基づき、患者背景との関連を同定していく。特徴的なSNPが同定されれば、機能解析を検討していく。 また、当初の計画通りに、ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的ノックアウトマウスと全身ヘテロマウス、及び、ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的過剰発現マウスを利用し、血管の経年による組織学的変化、および炎症性マーカー・酸化ストレスの変化を評価していく。また、実験の匹数が十分に確保できているなら、保護的薬剤(降圧薬やスタチンなど)の投与による動脈硬化病変の変化などを観察する予定である。
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Causes of Carryover |
想定したSNPタイピングの費用が安く済んだこと、およびデータ解析が終わらなかったことから当初の学会発表等ができずに旅費が当初より安く済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度以降のマウスにおける観血的血圧測定や国際学会での発表にかかる経費に使用する。
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