2017 Fiscal Year Research-status Report
新規高血圧遺伝子ATP2B1と頸動脈硬化症進展への病態解明と治療戦略の開発
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16K09477
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
谷津 圭介 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (10457856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅村 敏 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (00128589)
平和 伸仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20315766)
岡 晃 東海大学, 医学部, 助手 (80384866)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈硬化症 / ATP2B1遺伝子 / SNPs / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は共同研究施設である小林内科クリニック(院長 小林英雄先生、横浜市泉区中田南2-2-2)に生活習慣病で通院中の患者のうち、DNAを採取した患者約1300名のSNP解析および集団のサブ解析を行った。サブ解析の臨床データに関して論文化し報告した(Kobayashi Y, et al. Clin Exp Hypertens. 2018 Apr 19:1-8.)。 さらに、実際のタイピングデータに加え、HapMapデータ及び1000genomeを利用したimputation法を用いてSNPデータの補完を行った。上記解析により、ATP2B1遺伝子と動脈硬化の程度を表すCAVI値、薬剤や暴露要因を総合的に検討し、ヒトにおける動脈硬化進展の交絡要因を除去した解析や更なる追加SNP解析などを行っている。その結果を平成30年度での論文化および学会発表に繋げる。 また、前年度含め、継続的に行ってきたATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的ノックアウトマウスの薬剤応答性に関して、Hypertension誌に掲載された(Okuyama Y, et al. Hypertens Res. 2018 Feb;41(2):80-87. )。同マウスにおける薬剤応答性に関しては機能解析に更なる余地を残しており、同マウスからの細胞培養を行いより詳細なメカニズム解明を始めた。 ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的過剰発現マウスに関しては思うような結果を得られなかった。継代が進むたびに遺伝子発現量が減少し結果の解釈に支障をきたすことが予備実験でわかってきた。F0世代からの新たな系統の作成に着手するのは時間的に困難であり、やむを得ずこのマウスでの実験は中止とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載し平成29年度の研究実施計画通りに進んでいる。 基本的なATP2B1遺伝子のヒトSNPsのタイピングは終了し、現在、解析中である。共同研究施設である小林内科クリニックでの患者約1300名でのサブ解析も同時並行で行えており、本年度中にデータをまとめて論文化及び学会発表を行っていく。 ただし、ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的過剰発現マウスは、遺伝子発現が増加していなく、今後の解析には不適であることがわかり、同マウス関連の予定していた機序解明ができなくなった。また、ATP2B1遺伝子ノックダウン血管平滑筋細胞の作製も、予備実験で血管平滑筋の単細胞からの培養が難しく、平成30年度も作製を試みるが困難が予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
上記SNPタイピングによる結果に基づき、患者背景との関連を同定していく。特徴的なSNPが同定されれば、機能解析を検討していく。 また、当初の計画通りに、ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的ノックアウトマウスと全身ヘテロマウスに関しては論文化に値する解析ができており、引き続き機能解析を進める。ただし、ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的過剰発現マウスは継代が進むたびに遺伝子発現が減少し結果の解釈に支障をきたすため、これ以上の解析が難しくなった。 そのため、平成30年度の最終年度は、ATP2B1遺伝子の全身ヘテロノックアウトマウスおよびヒトATP2B1遺伝子のSNPs解析をメインに行い発表していく。
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Causes of Carryover |
ATP2B1遺伝子血管平滑筋特異的過剰発現マウスの解析において、遺伝子発現量が継代を経るごとに低下し、実験に耐え得る系統にならなかったため、予定していた実験ができず費用が持ち越しなった。 また、CRISPER-Cas9システムの実験が行えなかったことも、予算が余ってしまった。 そのため、平成30年度は上記、2つの実験でなく、現在進行形のヒトSNPs解析や血管平滑筋ノックアウトマウスおよび全身ヘテロノックアウトマウスの解析および論文化に集約し代替としていく。
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[Journal Article] The effects of anti-hypertensive drugs and the mechanism of hypertension in vascular smooth muscle cell-specific ATP2B1 knockout mice.2018
Author(s)
Okuyama Y, Hirawa N, Fujita M, Fujiwara A, Ehara Y, Yatsu K, Sumida K, Kagimoto M, Katsumata M, Kobayashi Y, Saka S, Umemura S, Tamura K.
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Journal Title
Hypertens Res.
Volume: 41(2)
Pages: 80-87
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Atherosclerosis of the carotid bulb is associated with the severity of orthostatic hypotension in non-diabetic adult patients: a cross-sectional study.2018
Author(s)
Kobayashi Y, Ishiguro H, Fujikawa T, Kobayashi H, Sumida K, Kagimoto M, Okuyama Y, Ehara Y, Katsumata M, Fujita M, Fujiwara A, Saka S, Yatsu K, Hirawa N, Toya Y, Yasuda G, Umemura S, Tamura K.
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Journal Title
Clin Exp Hypertens.
Volume: Apr 19
Pages: 1-8
DOI
Peer Reviewed