2017 Fiscal Year Research-status Report
プラーク内新生血管の三次元構造構築過程の解明:VEGFファミリーの役割
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16K09479
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西口 毅 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (40549771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 篤 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50458072)
樽谷 玲 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60612942)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新生血管 / 急性冠症候群 / プラーク破裂 / 光干渉断層法 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈プラーク内における脆弱な3次元構造を有する新生血管の形成はプラーク不安定化の起点である。Vascular endothelial growth factor (VEGF)は血管新生を惹起すると考えられる。我々のグループは光干渉断層法(optical coherence tomography:OCT)を用いた、in vivoでのプラーク内新生血管の評価法を世界に先駆けて報告してきた。その中でも新生血管は一様ではなく、プラーク形成の段階において形態が変化していることを報告した。特に珊瑚状の形態をした新生血管は脂質を多く含む、いわゆる不安定プラークに多くみられた。また病理学的な検討から不安定プラークや、急性冠症候群の責任病変となったプラークではプラーク内出血が多くみられることが知られている。これらの知見から、珊瑚状の形態をした新生血管は脆弱であり、この血管の破綻によるプラーク内出血がプラーク破綻、ひいては急性冠症候群の発症に関与しているという仮説を立てた。 今回我々は、プラーク破綻のメカニズムを解明するために、経皮的冠動脈形成術予定の急性冠症候群患者を対象とし末梢血および冠動脈血を採取した。また責任病変の形態を評価するためにOCTを行い、冠動脈プラークにおける新生血管の評価を行っている。また一 部の検体では既に、VEGFおよびsFLT1の測定を行っている。また同時にmatrix metalloproteinase 9(MMP-9)やmyeloperoxidase(MPO)などの炎症性マーカも測定している。本研究の成果として、冠動脈血中のMMP-9濃度が急性心筋梗塞の臨床表現型の決定に寄与していることが明らかとなった。今後さらに検討を加えて、プラーク内新生血管の3次元形態とVEGFおよび各種の炎症性マーカとの関連、また急性冠症候群発症メカニズムを解明予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年研究代表者が新宮市立医療センターに転勤となった。新宮市立医療センターで研究継続するための準備(倫理委員会の申請と許可、設備、備品整備等々)を赴任後半年をめどに考えていたが、準備に遅れが生じている。そのため昨年後半から行う予定であった新規の患者登録ができていない。 一方で昨年までに和歌山県立医科大学で登録した症例については、検体の測定および、OCTでの血管新生の解析を行っている。成果の一部は海外学会等で発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
新宮市立医療センターで症例の登録が再開できるように鋭意準備中である。また和歌山県立医科大学の共同研究者の田中篤博士、樽谷玲医師と緊密に連携し、引き続き症例の登録を行う。また新生血管が破綻するメカニズムを解明するために、finite element m ethod(FEM)を用いた解析(新生血管の形態を変化させて新生血管にかかる圧応力をシュミレーションし、新生血管の形態別に血管の脆弱性を検討)を開始した。
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Causes of Carryover |
実験で使用する試薬の購入が当初予定していたものより少なくなったこと、前年からの繰越金があったことにより使用額が当初想定分より少なくなった。
今年度はVEGFやsFLT-1以外のマーカーについても検討を予定しており、試薬を購入する予定である。また論文作成、論文の成果発表、学術集会への参加を予定している。
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