2016 Fiscal Year Research-status Report
心臓線維化における老化制御因子WRNタンパクの役割
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16K09496
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂東 泰子 (暮石泰子) 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60452190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00242967)
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 老化 / 心不全 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究の目的と計画]:糖尿病合併症としての心不全(糖尿病性心筋症)の特徴の一つは心臓拡張機能障害であり、その心臓における病理学的特徴には、①心臓毛細血管不全②病的心筋肥大③心臓線維化があるが、糖尿病でなぜ心臓線維化が進行するのか、どのような線維化が発症しているのか(replacementなのかreactiveなのか)は不明である。 心臓拡張機能障害のもう一つの大きな原因に老化があり、老化と糖尿病病態には慢性炎症の点から類似する点が多いが、老化による心臓線維化進行のメカニズムもまた不明である。本研究では糖尿病と老化には共通する心臓線維化メカニズムが存在すると仮説し、過去の文献や自検データから、ウェルナー症候群の原因分子WRNタンパクに着目し、この遺伝子改変マウスの解析をもとにその分子メカニズムを明らかにするものである。●仮説1:糖尿病によるテロメア依存性心臓線維化メカニズム ●仮説2:糖尿病によるテロメア非依存性(ストレス反応性)心臓線維化メカニズム を検証する。 [研究実施状況] 計画通り、マウス老化モデル(WRNタンパクの1アミノ酸変異による活性異常を開始したウェルナー症候群マウスモデル)における心臓線維化評価を実施し成果は一部学会報告できた。新規老化マウス:WRNをCRISPER-Cas9システムにより遺伝子編集し作成したマウスの作出が完了した。このマウスのテロメア長アッセイを実施し、テロメア短縮が生じていることを確認した。 追加として、他の疾患病態モデル(糖尿病・Senescence-Associated Protein10マウス)についてのテネイシン発現変化についての評価も実施できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、マウス老化モデルにおける心臓線維化評価を実施し成果は一部学会報告できた。 しかしながら、予想外に、アミノ酸変異の老化モデルにおいて、テネイシンの発現亢進は認めないという結果をえた。 これが、モデルが適切でないためか、病態が異なるためかを検証するため、 新規老化マウス:WRNをCRISPER-Cas9システムにより遺伝子編集し作成したマウスの作出を行い、これの評価並びに自然老化マウス心臓での評価を追加で行う。 自然老化モデルについては、目標週令に至るまでの時間が必要であり、前年度は目標に達したマウスが得られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
完了した新規老化マウス:WRNをCRISPER-Cas9システムにより遺伝子編集し作成したマウスにおけるテネイシン発現や心臓リモデリング評価を開始する。さらに、圧負荷・心筋梗塞化・糖尿病化をこれらマウスと対照群に実施し、 1)線維化関連タンパク変化:膠原繊維並びに、弾性線維、テネイシン ECMの発現変化 2)心臓線維芽細胞と心筋細胞のクロストークに関係する細胞内シグナリング評価 を実施する。
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Causes of Carryover |
仮説と異なる結果を得たため研究計画を変更せざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規作成遺伝子改変マウスの解析に使用する。
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