2016 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム編集技術を難治性重症心不全治療へ応用する基盤技術整備
Project/Area Number |
16K09500
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
肥後 修一朗 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00604034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦惣 俊吾 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (30423164)
高島 成二 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (90379272)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / 心筋症 / 心筋細胞 / 相同組み換え |
Outline of Annual Research Achievements |
拡張型心筋症や肥大型心筋症を発症原因とした重症心不全の予後は依然著しく不良であり、最大限の薬物・非薬物療法においても改善が見込めない症例は、左室補助人工心臓・心臓移植といった外科治療の適応となる。一方、高速シークエンス解析技術の進歩に伴い、拡張型心筋症や肥大型心筋症の発症基盤に、心筋サルコメア構成タンパク質等のゲノム遺伝子変異がより大きく寄与していることが近年明らかなっている。本研究開発では、難治性重症心不全に対して、終末期にいたる前に病態進展を防ぐ治療法の確立を目標に、ゲノム編集技術に関連する基盤技術の開発を目指し推進した。 これまでに、心筋症症例を初めとする循環器難病患者を対象とし、末梢血または心臓組織からゲノムDNAを抽出し、それをテンプレートとして疾患遺伝子パネルを用いたライブラリ作成を行った。大阪大学医学部共同研に設置されたIon PGMを用い、シークエンスラン解析を行った。これまでに大阪大学医学部附属病院では、循環器内科・心臓血管外科の連携下に臨床情報・生体試料を統合したヒューマンサンプルセンターを整備しており、これらを利用し複数の心筋構造タンパク質遺伝子における変異を同定した。 また、主に培養細胞を用いて、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いたゲノム変異DNA修復の基盤技術開発を行った。具体的には、ガイドRNA選択におけるアルゴリズムの効率化、Cas9複合体によるターゲットDNA切断活性評価、相同組み替えベクターの設計方法の検証、ホモロジー依存性修復による組み換え率の向上を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に則り、大阪大学医学部附属病院において、重症心不全症例に対し、高速シークエンス解析によるゲノムDNA診断を行い、疾患発症の原因となる変異の同定を行った。また、主に培養細胞を用いて、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いた変異DNA修復の基盤技術開発を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPRを用いたゲノム修復技術では、一旦ターゲットゲノムDNAを切断する過程を経る。その後相同組み換え機構を用いて目的とする修復配列への組み換えを目指すが、その効率が不十分である場合、ミスセンスやフレームシフト変異を誘導する可能性がある。また、CRISPRシステムはPAM配列及び約20塩基の核酸相同性をもとにターゲット配列を認識するため、本来のターゲットDNA配列以外のゲノム領域を認識し切断する可能性がある。従って、効率的かつ確実な相同組み換えへの誘導、オフターゲット効果低減のための至適条件の決定が不可欠であり、包括的な評価のために高速シークエンサーを用いた解析系の確立を行う。ガイドRNAの設計時にオフターゲット対象となり得るゲノムDNA配列を予測し、高速シークエンサーを用いたターゲットリシークエンスによるオフターゲット評価解析系を確立する。
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[Journal Article] Btg2 is a Negative Regulator of Cardiomyocyte Hypertrophy through a Decrease in Cytosolic RNA2016
Author(s)
Yuki Masumura, Shuichiro Higo, Yoshihiro Asano, Hisakazu Kato, Yi Yan, Saki Ishino, Osamu Tsukamoto, Hidetaka Kioka, Takaharu Hayashi, Yasunori Shintani, Satoru Yamazaki, Tetsuo Minamino, Masafumi Kitakaze, Issei Komuro, Seiji Takashima, Yasushi Sakata
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 27;6
Pages: 28592
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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