2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K09516
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 智也 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90437468)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 免疫寛容 / 制御性T細胞 / 紫外線 / 乳酸菌 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、動脈硬化予防のために、制御性T細胞(Treg)を利用した免疫寛容誘導法を確立し、臨床応用するための基盤を確立することである。本年度は、皮膚から紫外線を利用したTreg誘導による動脈硬化予防の研究成果について、昨年に引き続きUVB照射によりマウス動脈瘤モデルでの予防効果を証明して報告できた(Hayashi T, Sasaki N, Yamashita T, et al. J Am Heart Assoc., 6, e007024, 2017)。皮膚治療で臨床応用されている方法を、血管疾患の予防法として応用する新たな取り組みにつなげたい。 もう一つの成果としては、腸管免疫修飾による免疫寛容誘導研究について、ある乳酸菌を動脈硬化モデルマウスに投与することで、PD-L1陽性の免疫寛容性樹状細胞を誘導し、PD-1経由でT細胞機能を抑制することにより、動脈硬化が抑制できることを示した(Mizoguchi T, Kasahara K, Yamashita T et al. Heart Vessels., 32, 768~776, 2017)。2つの報告ともに、免疫寛容誘導による動脈硬化予防を達成した成果である。 Cytotoxic T lymphocyte antigen-4(CTLA-4)の動脈瘤における役割も検討しており、その分子の役割が一部解明できつつあり、治療への応用を意識した詳細な機序の解明を実施している段階である。 当初、重要課題の一つと考えていた抗原特異的Treg細胞の誘導に関しては、昨年の報告書内の今後の研究の推進方策に記載したように、現状では困難と考えて、研究自体を中断した。 それに変わり、腸内細菌叢の調査から、厳密には免疫寛容の誘導ではないが、腸管免疫修飾からの動脈硬化予防の研究として、抗炎症細菌の開発を進めており、特許出願にまで至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
紫外線がTregを誘導して免疫寛容を誘導することで、動脈硬化の一つの表現型である動脈瘤が予防できることを証明できて、さらに腸管免疫修飾による免疫寛容誘導にても、マウス動脈硬化が抑制できることを示すことができた。前者は、当初の予定通りであり、昨年に引き続き論文化を達成できた。後者に関しては、当初の計画にはなかったが、昨年の「今後の研究推進方策」に書いた通りの計画であり、予定より早く成果として報告できた。 さらに、腸管免疫からの抗炎症免疫療法の開発として進めた抗炎症作用を誘導する腸内細菌の研究が進み、特許出願にまで至っており、研究全体としては計画以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定の紫外線による皮膚からの免疫寛容誘導による動脈硬化性疾患の予防については、心筋梗塞後の心不全に関しての有用性をマウスモデルで調査していく。大まかには、当初の目標は既に達成しており、紫外線照射による循環器疾患の治療・予防の臨床応用ができるかの検討に入る。 CTLA-4の動脈硬化における役割の解明も、マウスモデルでの検証はほぼ終了している。臨床においては、この分子に関連した抗体医薬が免疫疾患などで臨床応用されているが、循環器疾患での応用が可能か検討していく。 抗原特異的Treg細胞の誘導に関しては、現状で解明されている知見では推進が困難と考えられ、昨年と同様で中止したままとする。 抗炎症腸内細菌の研究は、さらに異なる研究資金も投入し拡大すべきと考えている。最終年度の研究は、この腸内細菌からのアプローチを重点的に進め、成果を得て、次の研究の展開につなげる方針である。
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[Journal Article] UVB exposure inhibits angiotensin II-induced abdominal aortic aneurysm formation in mice by expanding CD4+Foxp3+ regulatory T cells.2017
Author(s)
Hayashi T, Sasaki N, Yamashita T, Mizoguchi T, Emoto T, AminHZ, Yodoi K, Matsumoto T, Kasahara K, Yoshida N, Tabata T, Kitano N, Fukunaga A, Nishigori T, Rikitake Y, Hirata K.
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Journal Title
J Am Heart Assoc.
Volume: 6
Pages: e007024
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Oral administration of the lactic acid bacterium Pediococcus acidilactici attenuates atherosclerosis in mice by inducing tolerogenic dendritic cells.2017
Author(s)
Mizoguchi T, Kasahara K, Yamashita T, Sasaki N, Yodoi K, Matsumoto T, Emoto T, Hayashi T, Kitano N, Yoshida N, Amin HZ, Hirata K.
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Journal Title
Heart Vessels.
Volume: 32
Pages: 768-776
DOI
Peer Reviewed
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