2016 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮ー成熟脂肪細胞ネットワークによる新規脂肪血管新生・恒常性維持機構の解明
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16K09524
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
池田 宏二 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (90423871)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肥満 / メタボリック症候群 / 血管内皮細胞 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はNrg4の機能解析を精力的に行った。血管内皮細胞をリコンビナントNrg4で刺激すると増殖能・管腔形成能の亢進およびアポトーシスの減少が誘導され、Nrg4は血管新生を誘導する増殖因子であると考えられた。次にNrg4を欠損したKOマウスを作成し、その代謝表現型を解析した。Nrg4-KOマウスは野生型と比べ、通常食を与えた状態でも体重・体脂肪が多い傾向を示し、高脂肪食を与えると明らかに肥満しやすいことがわかった。そのメカニズムとして、Nrg4-KOマウスでは褐色脂肪の血管密度が低下しており、熱産生能が低下してエネルギー消費量が減少する結果、肥満が増悪すると考えられた。Nrg4-KO マウスでは白色脂肪の血管密度も低下しており、肥満に伴う慢性炎症が著しく増悪していた。肥満・白色脂肪組織の慢性炎症が増悪する結果、Nrg4-KOマウスでは肥満関連代謝異常が著明に増悪していた。一方、脂肪組織においてNrg4を過剰発現するNrg4-Tgマウスは野生型と比較して体重・体脂肪率に有意な差を示さなかったが、通常食下でも高いインスリン感受性を示し、高脂肪食下では肥満関連代謝異常の顕著な改善を認めた。そのメカニズムとして白色脂肪組織の血管密度がTgマウスでは有意に増加しており、肥満に伴う脂肪組織の慢性炎症も著明に軽減していることがわかった。以上の結果からNrg4は成熟脂肪細胞が分泌する新規の血管新生誘導アディポカインであり、脂肪組織の血管密度を上昇させて褐色・白色脂肪の機能維持に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、研究は概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた通り、研究は概ね計画通りに進展しており、今後も当初の計画に従って研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
残金が少なく、研究に必要な物品を購入するには足りなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り使用しますが、助成金を有効に使い切るために購入物品を事前に吟味するようにします。
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