2016 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連肺疾患の病変形成に関与するTh2サイトカイン阻害の影響
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16K09531
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
早稲田 優子 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80536037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 充弘 金沢大学, 附属病院, 講師 (20361983)
松井 祥子 富山大学, 保健管理センター杉谷支所, 教授 (40334726)
山田 和徳 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (90397224)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肺線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患が多彩な病態を形成する要因は依然として不明であり、また臨床的にもステロイド漸減に伴う再発など治療に難渋する症例が多いため、本疾患の病態解明と治療法の確立は急務である。 現在、IgG4関連疾患の病態として何らかの抗原刺激による宿主のTh2反応と、その抗炎症性制御が働いた結果によりIgG4産生と線維化病変が生じる、という仮説を立てている。 これまでに我々はLAT Y136F変異マウスがヒトのIgG4関連肺疾患のモデルマウスとなることを確認した。LAT Y136F変異マウスでは、血清IgG1および病変局所でのIgG1陽性細胞浸潤を認める。また、少なくとも4週齢より病変が形成され、経時的にAchcroft scoreが増加することを確認した。また気管支肺胞洗浄液のIL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13、IFN-γ、TNF-α、Eotaxin、Rantesのmultiplex cytokine assayによる評価、ならびにTGF-β1のELISAによる評価ではLAT Y136F変異マウスにおいてTh2サイトカインが有意に増加しており、Th1サイトカインは有意に減少し、さらに線維化のサイトカインであるTGF-β1が有意に増加していることを確認した。 今回、LAT Y136F変異マウスを用いて、再度4週、6週、10週、20週の肺を用いてIgG1ならびにIgGの免疫染色を試み、各組織のIgG1/IgG比の算出を行なった。また、今後の測定用に検体の保存を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LAT Y136F変異マウスの繁殖が遅れており、目的の4週、6週、10週、20週のマウスの検体を集めるのに非常に時間を要したことが原因である。 さらに、IgG1、IgG4の免疫染色に関してよりよい染色を行うように検討をしており、予定外に時間がかかってしまったために薬剤の投与が遅れている。 ただし、手技に関しては安定したので、今後は薬剤投与を踏まえて測定を行なっていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
LAT Y136F変異マウスを用いて、肺病変におけるサイトカイン、ケモカインの発現について分子生物学的手法を用いて検討する。次に、LAT Y136F変異マウスに抗IL-4抗体、抗IL-5抗体、抗IL-13抗体をそれぞれ単独または組み合わせで投与することにより同様にサイトカイン、ケモカインの発現がどのように変化するかを分子生物学的手法、ならびに病理学的手法を用いて検討する。 最後に既存治療薬とされているステロイドと上記抗体との組み合わせの投与も行い、それらによる治療効果の検討も同様に行い、より効果を示す新規治療の開発を行う。
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Causes of Carryover |
研究が予定通り進まなかったために、薬剤の購入が該当年度に行えなかったことと、年度途中で翌年度より所属が変わることが決まったため、変わってから購入する予定とし、計画を軽度変更したため、該当年度ではなく、翌年度分として請求した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
LAT Y136F変異マウスに投与する抗IL-4抗体、抗IL-5抗体、抗IL-13抗体の購入ならびにマウスの維持継代費用、サイトカイン測定、コラーゲン測定、免疫染色を行う。結果については国内、国外での学会発表を行う予定。
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