2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患の新規治療戦略:全身性炎症の抑制をめざして
Project/Area Number |
16K09551
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉川 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (80271203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 佳史 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00458035)
木村 弘 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (20195374)
山内 基雄 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30405378)
市川 寛 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60336732)
藤田 幸男 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60571023)
友田 恒一 奈良県立医科大学, 医学部, 病院教授 (90364059)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 全身性炎症 / 酸化ストレス / 腸内環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)における全身併存症は疾患管理において重要な課題である。全身性炎症および酸化ストレスは全身併存症の基盤病態とされるが、有効な治療法は確立されていない。われわれは全身性炎症や酸化ストレスの発症要因として腸内環境の悪化に着目し、シンバイオティクスの投与がこれらの制御と同時に肺の炎症抑制にも有効であるか否かを検討している。本年度は、昨年度に引き続き当科外来通院中のCOPD患者を登録し、自覚症状および栄養状態の評価、呼吸生理学的評価とともに血液検体の採取保存を順次行った。 腸内細菌叢の評価ではLactobacillalesやBifidobacteriumの少ない例もみられたが、個人差が大きく、Clostridiumの各clusterの比率も多様であった。糞便中の短鎖脂肪酸濃度では、酪酸、酢酸、プロピオン酸が低値である症例も散見された。酸化ストレスの検討では、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシドラジカル、メチルラジカルなどに対するラジカル消去活性の低下が認められた。一部の症例においては、シンバイオティクスの投与により、LactobacillalesやBifidobacteriumの増加が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COPD患者の栄養評価、呼吸生理学的評価、腸内細菌叢や糞便中有機酸濃度の評価、血中の酸化ストレスマーカー等に関するデータは徐々に集積されつつある。また、シンバイオティクス投与による、腸内環境の変化、酸化ストレスに及ぼす影響も検討を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き外来COPD患者の登録および諸評価を行い、シンバイオティクスの投与効果についても解析を継続する。また、喫煙対照群および非喫煙対照群においてもCOPD患者と同様の評価を行い、COPD患者における特徴を明確にする。
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Causes of Carryover |
理由:今年度は血液検体の収集を一定数に達するまで順次行っていたため、炎症性マーカーの測定キットを購入しなかった。従って、その測定に要する実験助手の人件費を計上しなかった。 使用計画:血液検体が一定数に達した後、各種炎症性マーカーの測定キットを購入する。また、必要に応じて実験助手の人件費を計上する。
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Research Products
(18 results)