2017 Fiscal Year Research-status Report
夜間低酸素血症によるNASH線維化進展機構の解明とその新規対処法の確立
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16K09564
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
廣野 玄 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (80386268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大越 章吾 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (70231199)
長谷川 勝彦 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (60328870)
河野 正己 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20170201)
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝炎 / 低酸素血症 / 睡眠時無呼吸症候群 / 持続的陽圧呼吸療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、夜間間欠的低酸素状態にある睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者において、それに高頻度に付随する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態解明と、その線維化進展を予防する薬物療法によらない新たな治療戦略を確立することである。SASの患者において、持続的陽圧呼吸療法(CPAP)による低酸素血症の改善が肝の線維化や脂肪化の進展の予防・改善に寄与することが認められれば、治療効果が期待できる患者の囲い込みを行い、現在有効な治療法が見当たらないNASHの治療の新たな治療戦略を確立することができる。 本研究では当初よりSAS患者の登録収集に努め、平成29年度末においては登録人数は100人を超えている。それぞれ肝フィブロスキャンにおける肝線維化・脂肪化を数値化したデータ、および採血による肝胆道系酵素、脂質、血糖、空腹時インスリンのデータの他に種々の血清肝線維化マーカーのデータの収集を継続している。また、それぞれCPAP開始前、開始半年後、開始一年後のデータを収集し、現在、詳細なデータ解析を行っているところである。今のところ、CPAPによって明らかな肝線維化の改善は見られてはいないが、体重減少がないにもかからわずCPAPによって夜間間欠的低酸素血症が改善され、肝障害(肝脂肪化も含む)の改善を認めるケースも見受けられる。今後、CPAPのアドヒアランス(CPAPの使用率)ごとに解析を行い、NASHの改善効果が認められる患者の囲い込みができれば、潜在的に低酸素血症が関与しているNASHに対する新たな治療法の開発に寄与できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在ではSASの患者登録数は119人であり、それぞれCPAP開始前、開始半年後、開始一年後にフィブロスキャンによる肝線維化・脂肪化のデータ採取、および血清肝線維化マーカーのデータを採取している。さらに患者登録数を増やす予定ではあるが、現在はデータの詳細な解析を行っているところである。 また、実験マウスを用い、低酸素血症がNASHの発生にどのように関与しているかどうかを検討した分子生物学的な実験も進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後さらに患者登録数を増やし、平成30年の夏までには150人を目指している。同時に、現時点でのデータを詳細に解析し、CPAPによる夜間低酸素血症の改善がNASH進展にどのように関与しているのか、どのような患者において夜間低酸素血症の改善が肝障害(肝線維化・脂肪化)改善につながるのか、を検討し、国内学会さらには国際学会にて発表する。 国内の学会については、第54回 日本肝臓学会総会(平成30年6/14、6/14 大阪)において発表する(一般口演 O-86)。また、AASLD (American association for the study of liver disease)のThe Liver Meeting 2018(11/9~11/13, サンフランシスコ)での発表も目指している。
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Causes of Carryover |
研究計画では、肝フィブロスキャンのレンタル料金が一年間(実際は一年間のうちの3か月間)で100万円であったため、平成28年度から平成29年度の2年間ではレンタル料金が200万円かかる計算であった。しかし、平成29年度より、同機器を今後購入する予定としたため、レンタル料金が当初よりは安価になった。以上のことにより、次年度使用額が生じたと考えられる。 今後、次年度使用額については血清肝線維化マーカーだけではなく、酸化ストレスマーカーである尿中8-OhdGの測定にも使用し、CPAP前後での検討を行う予定である。
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Research Products
(5 results)