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2018 Fiscal Year Research-status Report

細胞接着分子CADM1を分子標的とする小細胞肺癌の治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 16K09570
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

菊池 慎二  筑波大学, 医学医療系, 講師 (80588971)

Project Period (FY) 2016-10-21 – 2021-03-31
Keywords小細胞肺癌 / 外科手術 / CADM1 / スプライシングバリアント / 癌免疫療法
Outline of Annual Research Achievements

免疫グロブリン・スーパーファミリー細胞接着分子CADM1は非小細胞肺癌(NSCLC)を含む様々な上皮系の癌において腫瘍抑制に関与する.我々は,CADM1が小細胞肺癌(SCLC)において特異的なスプライシングを受けて高頻度に過剰発現し,悪性増殖能に関与することを見出した.次に,SCLCの分子生物学的特徴を検討するために,小細胞肺癌の手術症例の臨床病理学的因子と長期治療成績を後ろ向きに解析した.当院で肺切除術を行い小細胞肺癌と診断された42症例を対象としたところ,病理学的には混合型が12例で,リンパ管侵襲を22例,血管浸潤を29例に認め,病理病期(第8版)はIA1/IA2/IA3/IB/IIA/IIB/IIIA/IIIB/IVAが2/5/1/6/3/8/13/3/1例であった.腫瘍マーカー高値はNSE12例(38例中),Pro-GRP6例(20例中),CEA14例(42例中),SCC11例(36例中)であった.観察期間は58.7±68.9ヵ月で,5年生存率は57.2%であった.単変量解析では男性(p=0.048),術後補助化学療法なし(p<0.001),混合型(p=0.002),CEA高値(p=0.013),SCC高値(p<0.001)は有意な予後不良因子であった.さらに,SCLCにおけるCADM1発現の臨床病理学的意義を明らかにするために,手術検体の免疫組織化学染色を行った.CADM1の発現を検討したところ,CADM1は71%で強陽性であり、患者の予後不良と有意な相関を示した.従って、CADM1バリアントがSCLCの悪性増殖能や転移能と強く相関しており、治療の分子標的となる可能性を持つことが示唆された。以上の研究成果を「The IASLC 19th World Conference on Lung Cancer (Toronto)」で発表する事が出来た.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

科研費交付以前から継続している本研究の研究成果を,今年度は「The IASLC 19th World Conference on Lung Cancer (Toronto)」において発表する事が出来た.
SCLCの分子生物学的特徴を検討するために,小細胞肺癌の手術症例の臨床病理学的因子と長期治療成績を後ろ向きに解析した.当院で肺切除術を行い小細胞肺癌と診断された42症例を対象としたところ,小細胞肺癌患者の術後5年生存率は57.2%と比較的良好であった.単変量解析では男性(p=0.048),術後補助化学療法なし(p<0.001),混合型(p=0.002),CEA高値(p=0.013),SCC高値(p<0.001)は有意な予後不良因子であった.従って,SCLCは病理学的に混合型で,NSCLCの腫瘍マーカーであるCEA,SCCが高値の時は腫瘍学的に悪性度が高い可能性が示唆された.さらに,SCLC手術検体におけるCADM1発現の解析では,免疫組織化学染色にてCADM1が71%で強陽性であり、患者の予後不良と有意な相関を示した。
次年度に向けてはCADM1に着目したSCLCの血清学的診断法及び予後予測の検討を行っている.CADM1はその細胞外領域がsheddingされ,可溶性蛋白として存在する。さらにSCLCに特異的なスプライシングバリアントは正常肺に発現するバリアントと比較してsheddingを受けやすいことが明らかになった.そこで、SCLC患者の血清中に可溶性CADM1が存在することを検証するため、ELISA法の確立を行っている。また,血中循環腫瘍DNAやエクソソームを採取して,我々が見出した小細胞肺癌に特異的に発現するスプライシングバリアントを解析することにより,小細胞肺癌の新しい診断法及び治療方針に関わる血清マーカーとなる可能性を検討している。

Strategy for Future Research Activity

まず第一に,CADM1に着目した小細胞肺癌の血清学的診断法及び予後予測の検討を進める.CADM1はその細胞外領域がsheddingされて可溶性蛋白として存在し,さらにSCLCに特異的なスプライシングバリアントはsheddingを受けやすいことが明らかになっており,有意な血清マーカーとして期待できる.
次に,SCLC細胞の転移抑制効果をマウスモデルで検証するために、NCI-H69 細胞の尾静脈-肺への転移形成を安定に行えるようにする。そして、CADM1 機能阻害活性をもつヒト化抗体,又は,CADM1分子経路の機能阻害剤を用いて、ヒト SCLC 細胞のヌードマウス転移モデルにおける転移抑制効果を判定する。
さらに近年、癌治療の新しい柱として免疫チェックポイントを標的とした癌免疫療法が急速に発展し、肺癌の分野では、構造的に免疫グロブリン・スーパーファミリーに属するPD-1が臨床応用されている。免疫グロブリン・スーパーファミリーに属するCADM1はCRTAMと結合して癌細胞の免疫応答に関与すること,腫瘍細胞に発現するCADM1は活性化したVγ9Vδ2 T細胞のCRTAMと結合してT細胞の細胞死を導くことが明らかにされた。そこで我々は、CADM1の細胞外領域が担う免疫応答に焦点をあて、小細胞肺癌の免疫抑制に関わる分子機構をCADM1-CRTAMの経路に基づいて解明する。さらに、抗 CADM1 ヒト化抗体を用いて、培養細胞やマウス実験系における小細胞肺癌の浸潤転移抑制を試み、新規治療法の開発を目指す。

Causes of Carryover

各種抗体,プラスチック器具,一般試薬などの消耗品の多くはすでに購入済みのものがありそちらを使用したため,今年度新たに購入する必要がなくなった.繰り越した分は次年度の実験に必要となる消耗品を購入する予定である.

  • Research Products

    (6 results)

All 2019 2018

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Novel Alaska Pollock Gelatin Sealant Shows High Adhesive Quality and Conformability.2019

    • Author(s)
      Masatoshi Yamaoka, Naoki Maki, Ashoka Wijesinghe, Shoko Sato, Takahiro Yanagihara, Naohiro Kobayashi, Shinji Kikuchi, Yukinobu Goto, Tetsushi Taguchi, Yukio Sato
    • Journal Title

      Ann Thorac Surg.

      Volume: Epub ahead of print Pages: Epub ahead

    • DOI

      10.1016/j.athoracsur.2018.11.074.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Effect of respiratory rehabilitation for frail older patients with musculoskeletal disorders: a randomized controlled trial.2018

    • Author(s)
      Naoki Maki, Harumi Sakamoto, Yu Takata, Naohiro Kobayashi, Shinji Kikuchi, Yukinobu Goto, Hideo Ichimura, Yukio Sato, Hisako Yanagi
    • Journal Title

      J Rehabil Med.

      Volume: 50(10) Pages: 908-913

    • DOI

      10.2340/16501977-2490.

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 増大傾向を示した卵巣腫瘍術後の後縦隔Mueller管嚢胞の1例2018

    • Author(s)
      河村 知幸, 小林 尚寛, 菅井 和人, 菊池 慎二, 後藤 行延, 佐藤 幸夫
    • Journal Title

      日本呼吸器外科学会雑誌

      Volume: 32巻6号 Pages: 753-757

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 小細胞肺癌手術症例の検討2018

    • Author(s)
      菊池慎二
    • Organizer
      第35回日本呼吸器外科学会総会
  • [Presentation] 気管支鏡検査により膿胸を併発した肺癌に対して2期的に根治術を施行した1例2018

    • Author(s)
      菊池慎二
    • Organizer
      第41回日本呼吸器内視鏡学会学術集会
  • [Presentation] Survival of patients with small-cell lung cancer undergoing surgical resection.2018

    • Author(s)
      Shinji Kikuchi
    • Organizer
      The IASLC 19th World Conference on Lung Cancer
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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