2016 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着に関与し肺癌の予後を規定する膜貫通型タンパクの同定と機能解析
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16K09574
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿毛 秀宣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80513390)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インテグリン / 肺癌 / 膜タンパク / 遊走 |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書では研究の目的として6項目を挙げ、そのうち前者2項目が平成28年度以内に終了予定で3項目目が平成28年度中に取り掛かる予定であった。具体的には、1. バイオインフォマティクスを用いて候補として挙げた4遺伝子のうち、当研究室で保存している肺癌患者検体で発現量が病期や予後と相関するものを同定する、2. 同定した遺伝子に変異や多型が存在するかを確認する、3. 同定した遺伝子の発現量の変化により増殖速度・遊走能・浸潤能など、癌細胞の機能・悪性度が変化するか解析する、の3項目であった。 研究はおおむね予定通りに進んでおり、1.については特定のインテグリン遺伝子の発現が高い症例では病期が進行しており、かつ生存期間が短かいこと見出した。2.については同インテグリン遺伝子に変異はないものの多型が存在しており、ただしその多型と予後の間に相関はなかった。3.については細胞株に同インテグリン遺伝子を導入するためのベクターが完成し、細胞株への遺伝子導入を開始した。その結果、定量的PCRにより細胞株がインテグリン遺伝子を高発現していることを確認できた。今後は増殖速度・遊走能・浸潤能など、癌細胞の機能・悪性度が変化するか解析する予定である。同時に、インテグリン遺伝子は計20以上存在しており、これらを区別可能なタンパク実験に耐えうる特異性の高い抗体が存在するか、今後の肺癌サンプルの免疫染色を見越してやはり特異性の高い抗体がが存在するか、検討を進める必要があり、Western blotを開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成28年度の研究は目的1、目的2ともに終了した。平成28年度から29年度にかけて行う予定の目的3はすでに取りかかり始めている。なお、遺伝子の発現量の変化を解析するにはmRNAレベルとタンパクレベルの2種類の解析方法があり、mRNAレベルでの解析は順調に進んでいるが、タンパク実験を進めるためには良質な抗体が必要である。研究の質を高めるためにはタンパク実験も行うことが望ましいと考えており、現在良質な抗体を模索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞株におけるインテグリン遺伝子の強制発現系を確立したため、今後は機能解析を進める予定である。具体的には強制発現前後の細胞で細胞増殖能、遊走能、浸潤能が変化するかを検討する。試薬を用いた遺伝子導入が困難な肺癌細胞株がある場合はウイルスベクターを用いた遺伝子導入も行う準備ができている。さらには、インテグリン遺伝子を強制発現することにより細胞と細胞外基質との関係も解析する予定である。また、良質な抗体があるとこれらの実験を進めやすいため、ウエスタン・ブロット法を用いて特異性の高い抗体を引き続き模索していく。
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