2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着に関与し肺癌の予後を規定する膜貫通型タンパクの同定と機能解析
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16K09574
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鹿毛 秀宣 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80513390)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インテグリン / 肺癌 / 細胞外基質 / 遊走 / 膜タンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の交付申請書で平成28年度に実施する計画を立てて、実施できなかったのは計画3.の最後の実験であるウェスタンブロットのみであった。平成29年度にウェスタンブロットを行い、遺伝子を強制発現させた細胞株ではタンパクを検出できたが、定量的PCRより遺伝子を高発現していると予想される細胞株の内在的遺伝子発現は検出できなかった。今後は別の抗体を追加して内在性発現を検出できるように試みる。検出できなくてもFLAGタグをつけているため、強制発現系であればウェスタンブロットは可能である。 平成29年年度に実施予定だったのは、4.癌細胞の悪性度の変化の解析、5.産生する細胞外基質の種類や量の解析、6.細胞周期とアポトーシスの解析、の3つであった。そのうち、4.では細胞増殖能は標的遺伝子の発現量に関わらず変化しないことを見出し、遊走能は標的遺伝子を強制発現させると亢進することを見出した。浸潤能については現在実験中であり、5月中に結果がそろう予定である。これら3つの実験はいずれも2種類の細胞株を用いており、確実性の高い結果であると考えている。5.では、癌細胞による細胞外基質の産生を解析するよりも、標的遺伝子の発現の有無によって細胞外基質との相互作用が変化するかを解析する方が適切であると判断し、当初の予定を変更し、コラーゲン上、ラミニン上、および細胞外基質なしで細胞を培養して増殖能・遊走能・浸潤能が変化するか検討した。その結果、コラーゲン・ラミニンともになしと比較して増殖能は不変で遊走能は亢進することを見出した。6.については細胞増殖能に変化を認めず、当初の予定通り、解析は行っていない。 研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画した1.と2.は平成28年度中に終了した。平成28年度に計画した3.もほぼ終了しており、最後の一つの実験のみさらなる条件検討が必要だが、適切な試薬が見つからなければ実験自体、省略可能である。 平成29年度に計画した4.と5.は5.の実験計画を変更し、4.と5.を統合して行って上でほぼ終了し、5月には最終結果が得られると予想している。6.は4.の途中経過より当初の計画通り、行わない予定となった。 以上より、研究はほぼ当初の計画通りに、おおむね順調に進展していると考えている。 今後は計画3.と計画4.の内容を今後数か月で終わらせつつ、平成30年度計画に取りかかり、今年度中に論文投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては、計画3.の最後の実験であるウェスタンブロットを行うための良質な抗体が見つけるための実験を追加し、見つかれば標的遺伝子のタンパク発現を確認する。計画4.の最後の実験である浸潤能の評価は現在進行中であり、5月中には結果がそろうと予想している。今後はこれらの実験を行いつつ、平成30年の計画である上皮間葉転換の有無を評価すれば予定の実験としては終了となる。3.や4.の実験が終われば論文の準備を進め、今年度中に論文投稿する予定である。 研究計画の変更については2点である。適切なウェスタンブロット用の抗体が見つからず、今後の実験の結果によってはタンパクの定量を省略する可能性がある。また、細胞外基質の産生能を解析するよりは癌細胞と細胞外基質との相互作用を解析する方が適切であると判断して実験を進めた。いずれも研究を遂行する上で問題とはならない。
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Causes of Carryover |
今後、費用がかかるものとしては抗体がある。平成29年度は平成28年度に購入した抗体を用いて複数回条件検討を行った。今後新たに抗体を複数購入する必要があるが、これは平成30年度に計上する。さらに、平成30年度は初めて成果を学会に発表する。国内の日本呼吸器学会と米国の呼吸器の国際学会であるATSの2回発表予定である。平成30年度は平成28・29年度と比較して少額で申請しており、次年度の使用額としては適切であると考える。
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Research Products
(2 results)