2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K09591
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
柳澤 治彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00773425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 和善 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40205266)
原 弘道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70398791)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | IPF / 細胞老化 / MICA / PDL-1 / Bcl-2 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでの検討にて、IPF肺組織では化生上皮細胞の細胞老化が亢進していることを明らかとした。老化細胞は増殖能が低下するだけでなく、種々の炎症性サイトカインを産生し、周囲の細胞に影響を及ぼし、線維化と密接に関連する。そこで、老化細胞を特異的に除去できれば、IPFの病態を改善し、新たな治療法の開発につながる可能性が高いと考えられる。IPF肺の化生老化細胞の特異的な除去のためには、まず、化生老化上皮細胞の特徴を明らかとすることが必要である。そこで我々は、まずIPF肺組織の免疫組織染色にて化生老化上皮細胞の治療ターゲツトとなりうる分子の発現を検討した。
老化細胞はMICA発現によりNK細胞に認識され除去されることが報告されていることから、IPF肺組織の免疫染色にて老化上皮細胞のMICA発現を検討した。対照として正常肺、COPD肺も同様に検討した。MICAは主に上皮細胞で発現が認められたが、IPFの老化上皮細胞のMICA発現は正常肺、COPDと比ベ低下していたことから、IPFの老化上皮細胞はMICAが発現低下しているために除去されにくい可能性が示唆された。次に、我々は、老化上皮細胞におけるPDL-1発現についても検討を行った。PDL-1は腫瘍細胞に発現し、免疫機構からの逃避に重要な役割を果たしており、その阻害による腫瘍細胞の除去が有効な治療として現在使用されている。IPFの老化上皮細胞でPDL-1発現が増加していれば、治療応用が早期に可能と考えられる。現在、種々のPDL-1抗体を用いて条件検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IPF肺組織の老化上皮細胞の免疫染色に関してはMICAに関しては有用な結果が得られている。PDL-1に関しては現在条件検討中である。In vitroの検討に関してもすでに開始しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
IPFの病態にはTGF-βが重要な役割を果たしていることが知られており、実際にIPFのBALではTGF-βが増加している。TGF-βは細胞老化を誘導する。そこで、気道上皮細胞にTGFB刺激により細胞老化を誘導し、IPFのIn vitroのモデルとして検討を開始している。免疫組織染色と同様にPDL-1発現、MICA発現の変化を検討している また、本研究開始後、老化細胞の生存シグナルとしてBcl-2、Bcl-xLなどBcl-2ファミリーの重要性が報告され、さらに、その阻害により老化細胞特異的に細胞死を誘導し、老化関連病態が改善できる可能性が報告されている。IPF肺組織、In vitroの検討にてこれらの発現を検討する予定である。
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