2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K09591
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
柳澤 治彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00773425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 和善 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40205266)
原 弘道 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70398791)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞老化 / IPF / COPD / 線維芽細胞 / 老化細胞除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化細胞は増殖能低下やsenescence associated secretory phenotype:SASPによるサイトカイン産生により組織修復遅延、慢性炎症など老化関連病態の悪化に関与する。近年、マウスでは老化細胞が比較的少ない正常の加齢の過程においても老化細胞除去により老化のフェノタイプが抑制できることが報告された。すなわち、老化細胞は少数であっても老化関連病態に重要な役割を果たしており、治療ターゲットとなり得る。IPF肺では、正常肺やCOPD肺と比較して有意に多い老化細胞が観察されるため、IPF病態に老化細胞が果たしている役割も大きいと考えられる。老化細胞の特異的な除去はIPF病態を改善できる可能性があり、新たな治療法の開発につながると考えた。 一方で、細胞老化は生体の恒常性維持、組織の正常な修復に必要であるとも知られている。細胞老化は、若年では癌抑制機構として生体に有利に働く。また、創傷治癒機転に必要な線維芽細胞は役割を終えると老化が誘導され除去される。すなわち、適切な時期に起こる適切な細胞老化は生体に有利に働いている。不適切な時期の過剰な細胞老化が生体に不利で、各種病態を悪化させるため治療ターゲットとなる。 また、老化細胞の種類が異なると病態に及ぼす影響が大きく異なることも報告されている。肺組織では上皮細胞の老化は線維化を促進するが、線維芽細胞の老化は線維化を抑制すると考えられている。(若年マウス、加齢マウスに同一の方法を用いて老化を抑制しても前者では線維化が抑制され、後者では線維化が促進することが報告されている。) 我々は老化細胞除去による線維化抑制治療の可能性を考える上で、まず老化誘導刺激による老化細胞の出現時期、老化細胞の種類を同定することが重要であると考えた。本年度は、老化誘導刺激であるブレオマイシン投与、放射線照射後、経時的に出現する老化細胞を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブレオマイシン投与、放射線照射により老化細胞は増加し、肺線維化は進展した。老化する細胞の種類や、経時的変化をより詳細に評価している。上皮細胞の細胞老化が最も多い時期に老化細胞の除去を試みる予定である。今後、さらに、老化細胞の除去のためのターゲットとなる老化細胞の生存シグナルを同定する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 より詳細に老化する細胞の種類や、経時的変化を評価する。上皮細胞の細胞老化が最も多い時期に老化細胞の除去を試みる。老化細胞の生存シグナルとしてBcl-2、Bcl-xLなどBcl-2ファミリーの重要性が報告され、さらに、その阻害により老化細胞特異的に細胞死を誘導し、老化関連病態が改善できる可能性が報告されているため、それらの分子の発現を検討する。さらに、これまで報告されているsenolytic agentを適切な時期に投与する。
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Causes of Carryover |
物品購入費が当初より若干低く抑えられたため
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