2016 Fiscal Year Research-status Report
ミネラロコルチコイド受容体コリプレッサーを標的にした糖尿病性腎症治療薬の創薬
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16K09600
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
工藤 正孝 東北大学, 大学病院, 准教授 (20509583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90270834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 創薬 / 糖尿病性腎症 / アルドステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎症患者が著増しており、糖尿病性腎症の病期進行抑制のための治療法の確立が急務である。糖尿病性腎症進行にアルドステロンやMineralocorticoid受容体(MR)が関与すると示唆されているが、最近MRに結合しその作用を抑制する蛋白(Corepressor)、GEMIN4が同定された。本研究の目的は、メサンギウム培養細胞にGEMIN4のpromoter配列を発現したGEMIN4-Luc安定発現株を樹立し、同細胞を用いてGEMIN4の作用を活性化する化合物のスクリーニングを網羅的に探索・特定した後、1型糖尿病性腎症モデル(iNOS/RAGEダブルTGマウス)に投与を行い、糖尿病性腎症の発症・進展抑制効果と、既存のMR拮抗薬との併用の有用性を検証することである。以上より、糖尿病性腎症の進行予防のための創薬・新規治療法の確立を目指している。糖尿病性腎症の治療薬は、これまでもレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬が使用されてきたが、アルドステロン・ブロックの腎保護作用の機序に関しては未だ十分には解明されていない。GEMIN4などのMRのCorepressorはごく最近明らかになったこともあり、MRに結合する蛋白を標的にした新規創薬は全く行なわれておらず、本研究は非常に新規性が高い。また既存のMR拮抗薬との併用によって相乗効果が期待できる可能性がある。更に、in vivoでの検証実験に用いるiNOS/ RAGEダブルTGマウスは1型糖尿病性腎症モデルとして非常に優れており、現時点では本邦の東北大学と金沢大学でしか継代していない事から、新規リード化合物の尿中アルブミン減少効果や腎組織病変改善効果を世界に先駆けて明らかにする事が可能となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iNOS/RAGEダブルTGマウスの腎病理組織などの解析から初年度始める予定であったが、同モデル動物の交配や糖尿病腎症発症の重症度の把握などに難渋しているため、in vitroの研究を先行し、細胞株樹立などを優先することとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
GEMIN4-Luc安定発現株の樹立を優先する。 同細胞を用いた、ハイスループットスクリーニングを精力的に行い、薬剤スクリーニングまで着手することを推し進める。
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Causes of Carryover |
動物実験の計画が予定より遅れているため、そちらで使用する予定であった予算を執行しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新規実験のために新たに使用することや、論文校正や研究成果の発表のための旅費などに修正して振り分ける計画である。
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