2017 Fiscal Year Research-status Report
糸球体上皮細胞障害におけるmiR-143の役割の解明
Project/Area Number |
16K09601
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
坂入 徹 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20455976)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糸球体上皮細胞 / micro RNA / TGF-beta / 巣状分節性糸球体硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、TGF-beta1による糸球体上皮細胞障害に関与するmicroRNAを同定するため、TGF-beta1を作用させた培養糸球体上皮細胞を用いてmiicroRNA microarray解析を行い、TGF-betaにより発現量が有意に変化したmicroRNAのうち、最も変化量が多く、発現が亢進したmiR-143に着目し、解析をすすめた。まず、TGF-betaでmiR-143の発現が上昇することを定量的RT-PCRで確認した。次に、miR-143高発現の機能意義を調べるため、レンチウイルスベクターを用いて培養糸球体上皮細胞にmiR-143を高発現させ、表現型を解析した。その結果、miR-143を高発現させた培養糸球体上皮細胞では、コントロールと比べてWT1の発現が低く、また、type Ⅰ コラーゲンの発現が高いことが分かった。TGF-beta1は糸球体上皮細胞のWT1発現を低下させ、また、type Ⅰ コラーゲンの発現を上昇させることが知られていることから、miR-143はTGF-betaの作用を増強する可能性が考えられた。また、Smadのレポーターアッセイを行ったところ、miR-143を高発現した糸球体上皮細胞ではSmadの活性が上昇することが分かった。このことから、miR-143はSmadの活性を上昇させることでTGF-betaの作用を増強させることが示唆された。microRNAは、ターゲットの遺伝子の翻訳を抑制することでその作用を発揮することが知られているが、多数存在するターゲットの候補の中で、どの分子がmiR-143で実際にターゲットとなって発現が低下し、それによって、TGF-betaのシグナルを増強するかは現時点では分かっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養糸球体上皮細胞において、TGF-betaによりmiR-143の発現が亢進すること、miR-143がTGF-betaによるWT1の発現低下やtype Ⅰ コラーゲンの発現増強作用を増幅することを示した。また、miR-143がSmadシグナルを増強することによりTGF-betaの作用を増強することを示した。しかし、その作用が、miR-143のどのターゲット分子の発現抑制を介しているかが解明されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-143のターゲット分子の候補は数多くあり、その中でTGF-betaに関与する一つを見出すことは困難ではあるが、過去の文献や塩基配列からターゲットを推定するウェブサイトを使って候補を絞り、ウエスタンブロットやレポーターアッセイで同定する。また、腎炎のモデルマウスを使って、糸球体上皮細胞でのmiR-143の発現が変化するかを確認する。
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