2016 Fiscal Year Research-status Report
腎糸球体メサンギウム細胞とIgA1の相互作用および関連分子による修飾機構
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16K09607
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金子 佳賢 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80444157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インテグリン / トランスグルタミナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症に特徴的とされるメサンギウム細胞へのIgAの沈着には、インテグリンα1およびα2を介していることが報告されている。そこでsiRNAを用いてインテグリンα1、α2ならびに、IgAの受容体として報告されているCD71をそれぞれ特異的にノックダウンしたメサンギウム細胞を用いて、IgAとの共培養によるメサンギウム細胞内の情報伝達物質を解析した。インテグリンα1欠損メサンギウム細胞では、コントロール用siRNAを反応させたメサンギウム細胞と同様に、IgAの添加によりERK 1/2、WNKをはじめとする各種情報伝達物質のリン酸化が認められたが、CD71欠損メサンギウム細胞ではこれらのリン酸化が減弱ないし消失しており、さらにインテグリンα2欠損メサンギウム細胞ではそのほどんどが消失していた。このことから、IgAによるメサンギウム細胞の情報伝達は、インテグリンα2を介したものであると考えられた。また、トランスグルタミナーゼ2は、インテグリン同士やインテグリンと細胞外基質を結合させる働きが報告されている。そこでトランスグルタミナーゼ2の発現をsiRNAを用いてノックダウンさせ、IgAと反応させたところ、コントロール用siRNAを反応させたメサンギウム細胞と比較してIgAの添加によるインテグリンα1、α2や細胞外基質の発現が抑制されており、IgAとインテグリンα2の結合にトランスグルタミナーゼ2が関与していることが推察された。また、CD71のリガンドであるトランスフェリンをIgAとともにメサンギウム細胞に添加したが、発現遺伝子に違いは見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験手技は概ね確立したものであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、リコンビナントトランスグルタミナーゼ2を作成し、メサンギウム細胞にIgAとともに添加し、IgAとの反応性にどのような影響を及ぼすかを、発現遺伝子解析を行い検証する。また、IgA腎症患者血清より、IgAに対するIgG型およびIgA1型自己抗体を抽出し、メサンギウム細胞と共培養することによる発現遺伝子の違いを検証する。さらにトランスグルタミナーゼ2特異的合成基質ペプチドにFITC標識してプローブを作成し、ヒト腎生検組織においてインテグリンα1、α2、CD71と、トランスグルタミナーゼ2とのオーバーラップの比率と病理所見、臨床所見ならびに腎予後とを比較検討する
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Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり、購入できるものがなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算と合わせ、物品費に使用する。
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