2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー抑制因子Rubiconをターゲットとした生活習慣病関連腎疾患の治療
Project/Area Number |
16K09614
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 篤史 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (10704786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪阪 善隆 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00379166)
高畠 義嗣 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30403075)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Rubicon / 肥満 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、近位尿細管特異的Rubiconノックアウトマウスが通常飼育下において肥満を呈することが判明し、オートファジーの亢進がその機序のひとつであることが示唆されていた。 平成29年度においては、そのオートファジーの亢進に関してmTOR抑制を介しているか否かについて検討したところ、むしろmTOR経路が亢進していることが判明した。この点については、近位尿細管特異的Rubiconノックアウトマウスが肥満を呈していることから二次的に高インスリン血症からmTOR経路の亢進が引き起こされている可能性も考えられたが、in vitroの実験においても、Rubicon欠損近位尿細管細胞においてmTOR経路の亢進(ならびにオートファジーの亢進)が確認されたことから、高インスリン血症による二次的なものではないと考えられた。 また、近位尿細管細胞における脂質の増加が全身の肥満につながる機序については、近位尿細管細胞と肝細胞を共培養するin vitroの実験を施行し、Rubicon欠損近位尿細管細胞と共培養した肝細胞では、対照近位尿細管細胞と共培養した肝細胞よりも脂質の含有量が増加しており、近位尿細管細胞での脂質増加が肝細胞での脂質増加につながることが確認された。また、in vivoの実験において、近位尿細管特異的Rubiconノックアウトマウスでは血中コレステロールが対照マウスと比べてわずかながら有意に増加していることも確認できた。 これらの結果から、現在のところは、オートファジーの亢進による近位尿細管細胞での脂質増加が、血中の脂質増加を介して、肝臓や脂肪組織の脂質増加につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度においては、当初の実験計画と異なり、近位尿細管特異的Rubiconノックアウトマウスが通常飼育下において肥満を呈するという予期せぬ結果が得られたが、平成29年度におけるその機序に関する追究については、徐々に進んでいる。ただ、当初の仮説と異なった部分の解析を試みているため、2年間の経過で考えると、やや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
近位尿細管細胞における脂質の増加が血中の脂質増加につながることを想定しているが、その機序については、何らかのトランスポーターが関与しているのか、エクソサイトーシスなどのメカニズムが関与しているか不明であるため、近位尿細管特異的Rubiconノックアウトマウスと対照マウスにおいて、脂質に関連するトランスポーターやエクソサイトーシスに関わる因子の増減を比較検討していく必要がある。 また、将来的には「Rubiconを活性化させることによるオートファジーの抑制が肥満の軽減につながる」ことが想定されるが、Rubiconを活性化させる因子については、今のところ見つかっておらず、臨床応用にむけての今後の課題である。
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Causes of Carryover |
研究が予測通りの結果がでない部分があり、その原因究明のため進捗が当初より遅れている。そのため次年度使用額が生じている。
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Research Products
(2 results)