2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K09620
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岸 誠司 徳島大学, 病院, 助教 (10519507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 幸二郎 徳島大学, 病院, 講師 (40542048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎線維化 / DNA損傷応答 / 腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷は変異蛋白産生の原因となり場合によっては細胞の癌化や機能不全を引き起こし、細胞レベルでの老化との関連も知られているが、臓器機能低下につながる線維化との関係は明らかになっていない。今回はDNA損傷に対する防御機構であるチェックポイント機構(DDR)に注目し、DDRの最上流であるATM and Rad 3-related (ATR) の尿細管特異的コンディショナルノックアウトマウス(ATRRPTC-/-)を作成し、種々の腎障害モデルで評価を進めている。 まず、近位尿細管のDNAを直接障害する抗癌剤であるシスプラチン投与による急性腎障害モデルの解析をさらに進めた。ノックアウトマウスでは腎障害が増悪するが、ATRをノックアウトすることにより、尿細管上皮細胞のDNA障害が増幅されていること、より多くのアポトーシスが誘導されることが明らかになった。さらにp53-p21シグナルの活性化も増強しており、生存細胞においてはG2/M期での細胞周期の停止が増悪することが明らかとなった。 次に、慢性腎臓病におけるDDRシグナルの異常とその病理学的指標である尿細管間質の線維化の直接の関係を作成するため、タモキシフェン投与後にマウスの一側の尿細管を結紮し、腎臓線維化のモデルであるUUOモデルを作成し腎病変を評価した。ノックアウトマウスではワイルドタイプと比較して、尿細管の障害が増悪し、TGF-βおよびCTGFの発現も増加を認め、より高度の腎線維化が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物モデルにおいて、当初の予測のとおりDDRの破綻が急性腎障害においても、腎尿細管間質線維化モデルにおいてもDNA障害を増悪させることを証明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今回作成した腎障害モデルをさらに解析することにより、腎障害において幅広くDDRが果たしている役割を解明する。これに加えて、AKIからCKDの移行を考えるために、両側腎動脈虚血/再灌流(IRI)やアリストロキア酸腎症モデルの作成と解析を進める。 また、実際にヒト腎生検組織を用いてヒトの腎臓病にもDDRが認められるのか、腎機能や腎予後の指標である尿細管間質の線維化と関連があるのか評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
虚血再灌流手術は厳密な体温管理が必要であるため、直腸温センサーならびにマウス体温を一定に保つヒートパッド購入予定であったが、効率よく一定数のマウスに手術を行うには3セット必要であることが後に明らかになったが、3セットの購入を行った場合、他の物品の購入が困難な状況になることが明らかになったため、先に上記の特別な装置を必要としないシスプラチン腎症モデルのさらなる解析を進め、片側尿細管結紮術モデルを作成、評価した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に購入しなかった虚血再灌流手術に必要な手術器具を、研究計画遂行に必要な物品や試薬の購入に影響を及ぼさない程度での購入を予定する。
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Research Products
(2 results)