2018 Fiscal Year Research-status Report
臓器ニッチを用いたヒトiPS細胞から腎への分化誘導法の開発
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16K09630
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 啓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30439799)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腎臓再生 / iPS細胞 / 胎性臓器ニッチ法 / 異種移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス・ラット小動物モデルにおいて、Six2遺伝子改変マウスモデルを用いて、マウス腎臓を土台として、ラット腎前駆細胞を注入することにより、除去したマウスネフロン発生部位にラット細胞由来のネフロンの新規発生を行うことが可能であった。 上記手法はクロアカ(膀胱付き幼若腎臓)の腎皮膜下にあるネフロン発生部位への細胞注入を行うことにより、可能となったが、現状のプロトコールでは尿管・膀胱は異種のまま残存する事になるため、今後は腎のみならず、尿管・膀 胱をふくめて hiPSC/RPC 由来にすることを目指してさらなる検討を行っていく予定である。 注入するネフロン前駆細胞は将来の臨床応用を想定した場合、腎不全患者さん由来のiPS細胞を用いる事になる可能性があるため、腎不全患者さんのiPS細胞がネフロン前駆細胞へ分化するか否かの検討を行った結果、腎不全患者由来のiPS細胞と健常者由来のiPS細胞では腎不全患者由来のiPS細胞でも遜色なくネフロン前駆細胞まで誘導できると考えられた。 しかしながら、土台となるマウス腎臓内にヒトiPS細胞由来ネフロン前駆細胞を注入した場合の発育条件の検討がまだ進んでおらず、ここを今後さらに入念に検討する必要があるとともに、細胞ソースとしてのヒトiPS細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導効率のさらなる高効率化が必要と考えられた。 また将来のヒト臨床応用を想定して霊長類であるコモン・マーモセットによる腎原基異種移植検討を行ったが、発育条件としての免疫抑制療法の検討も今後さらに調整が必要であることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
iPS細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導や、臓器内注入したキメラ腎臓の発育が当初想定していた結果にはならず、さらなる詳細な検討を必要としている。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導について、高効率化を目指しさらなる条件検討を行う。 土台となる腎・クロアカへの最適な細胞投与条件についても条件検討を行い、研究の遂行を目指す。また現状のプロトコールでは尿管・膀胱は異種のまま残存する事になるため、今後は腎のみならず、尿管・膀 胱をふくめて ヒトiPS細胞由来に置き換えていくことを目指してさらなる検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度上半期で他業務多忙のため、研究が滞ってしまった。現在順調に研究を再開できている。また iPS細胞からネフロン前駆細胞への分化誘導効率が低下しており、うまくいかない時期があった。現在試薬などを一新し、調整を行ない、さらなる高効率化を目指して検討している。引き続き次年度に繰り越し、研究計画の遂行を目指す。
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Research Products
(4 results)