2017 Fiscal Year Research-status Report
多発性嚢胞腎と男性不妊を合併する新規副甲状腺関連遺伝子KANSL1-Lの解析
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16K09634
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
鍵弥 朋子 関西医療大学, 保健医療学部, 助教 (50717650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 俊治 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50275351)
畑村 育次 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (80336883)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近位尿細管拡張 / 遠位尿細管拡張 / ボーマン嚢拡張 / 腎線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
尿細管およびボーマン嚢の拡張における加齢の影響の検索については、加齢マウスの腎臓材料がそろい、パラフィンブロックにできた。その材料から特殊染色、免疫組織染色を行った。特殊染色はPAS反応、マッソントリクローム染色を行い、尿細管基底膜やボーマン嚢基底膜の厚みの変化を形態学的によく観察できた。免疫組織化学染色ではCD15、CD10、EMA抗体を用いて、遠位尿細管と近位尿細管の鑑別を目的に実施した。その結果、KANSL1-L遺伝子破壊マウスの腎では、生後2週齢、4週齢の早期段階で近位尿細管の拡張がみられた。尿細管拡張は高齢になるにつれ程度が増し、36週齢で最大となり、腎の径も最大となった。一方、野生型は60週齢で腎の径が最大であった。KO腎は、以後の60週齢、96週齢を観察したが、腎の萎縮の影響か、腎の径はやや小さくなり、尿細管拡張は少なくなり線維化が目立った。また、野生型とKOの腎を比較すると、KOで明らかに線維化が進行していた。KO18週齢、36週齢では拡張した近位尿細管の一部に基底膜の肥厚がみられた。遠位尿細管内に円柱のみられ始めるのがKOで36週齢、野生型で96週齢であり、KO腎は野生型に比べ早期の腎機能低下を示唆した。拡張尿細管は近位尿細管が多いが、遠位尿細管も拡張がみられた(KO60週齢)。ボーマン嚢拡張もみられた(KO60週齢など)。 腎機能を調べるため、KOマウスと野生型マウスから尿を採取し尿中クレアチニン濃度を測定した。その結果は、マウス個体差が大きく、KOと野生型で有意な差は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢マウスの腎臓材料が順調に集まり、形態学的観察は計画通り進展している。抗KANSL1-L抗体の作製がうまく進まず当初の計画より遅れ、まだ満足なものはできていないが、それ以外はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
抗KANSL1-L抗体が作製できたら、KANSL1-L遺伝子ヘテロ型マウス腎、野生型マウス腎におけるKANSL1-L蛋白の局在を検索する。精巣、肺など他の臓器のKANSL1-L蛋白の局在も調べる。 さらにKlothoとKAANSL1-Lの関係を明らかにする。KANSL1-L遺伝子KOマウス腎でKlotho遺伝子の発現を調べる。Klotho遺伝子KOマウス腎でのKANSL1-L遺伝子発現を調べる。 多発性嚢胞腎の病態を引き起こすPKD1,PKD2遺伝子とKANSL1-L遺伝子の関係を調べる。PKD1,PKD2遺伝子がコードする蛋白PC1,PC2に対応する抗体でKANSL1L KO腎の免疫染色を行い、組織内局在性の変化などを調べ、これら遺伝子の関系を調べる。
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Causes of Carryover |
育児休暇からの職場復帰が平成28年10月1日であり、研究期間が約半年であったため、物品の請求が少なかった。 次年度使用計画は、KANSL1-L抗体作製費と免疫染色試薬、抗体試薬、生化学試薬購入など物品費の使用を予定している。
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