2018 Fiscal Year Research-status Report
多発性嚢胞腎と男性不妊を合併する新規副甲状腺関連遺伝子KANSL1-Lの解析
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16K09634
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
鍵弥 朋子 関西医療大学, 保健医療学部, 助教 (50717650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 俊治 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (50275351)
畑村 育次 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (80336883)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腎線維化 / 近位尿細管拡張 / ボーマン嚢拡張 / 遠位尿細管拡張 / 肺胞壁肥厚 / 尿素窒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎疾患はQOL(quality of life)を下げる代表的な加齢性疾患である。腎障害が進行して腎機能が低下、人工透析、腎移植となればQOL は著しく低下し、医療費は増大する。加齢性腎疾患の中でも多発性嚢胞腎は常染色体優性または劣性遺伝性疾患で、遺伝性腎疾患の中で頻度が高い。我々のこれまでの研究で、副甲状腺亢進症関連遺伝子としてKANSL1-L を同定し、その遺伝子破壊マウスを作製した。そのKO マウスは多発性嚢胞腎の疾患モデルとなり得る形質を示した。さらにこのマウスは無精子症であり雄性不妊であった。この疾患マウスの病態解明と副甲状腺の関係を研究することで、ヒトの多発性嚢胞腎と男性不妊の発生機序を解明し、加齢性腎疾患の進行抑制物質や新たな男性不妊の遺伝的メカニズムの発見に結びつけることを目的とする。 KANSL1-L遺伝子の解明。kANSL1-L遺伝子のコードする蛋白質が腎組織でどのような局在をしているかを知るため、免疫組織化学染色に使用する抗KANSL1-L抗体を作製した。抗体がうまくKANSL1-L蛋白と反応するかを知るため、遺伝子の発現が確認されている精巣、副甲状腺で免疫組織化学染色を行ったが、満足のいく染色結果が得られなかった。そのため組織の固定時間、条件の検討、染色条件の検討を行っている。 尿細管およびボーマン嚢の拡張における加齢の影響の検索。腎機能を調べるため、週齢マウスの採血を行い、血中尿素窒素の測定を行った。野生型に比べKANSL1-L欠損マウスは尿素窒素濃度が高い傾向がみられた。 男性不妊と腎嚢胞化の新たな疾患モデルの病態解明。腎、精巣以外の臓器でKANSL1-L遺伝子による組織変化を検索した。肺組織で肺胞壁が肥厚していた。組織固定条件を一定にして検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫組織化学染色に用いる抗KANSL1-L抗体の作製、評価に予定より時間がかかっている。そのため腎でのKANSL1-L蛋白の局在の検索が行えていない。免疫組織化学染色はこの研究解析の重要な方法の一つであり、研究はやや遅れている。それ以外は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織化学染色に用いる抗KANSL1-L抗体の評価を行う。染色条件が決定できれば、腎、精巣、肺でのKANSL1-L蛋白の局在の検索を行う。 腎、肺などの組織固定条件を一定にして、抗原性の保持された状態でサンプルを集める。 尿、血清検体の生化学データ解析を行う。
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Causes of Carryover |
学会発表旅費に充てるつもりであったが、今年は学会発表をしなかったため次年度使用額が生じた。 次年度は学会発表を行うつもりなので、旅費に充てる計画である。
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