2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病での治療によるフラタキシンの回復と合併症の予防
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16K09635
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
蓮池 由起子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80399146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 健 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70217769)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
[概要] 慢性腎臓病(CKD)患者でみられるフラタキシンの発現低下および鉄代謝異常を,赤血球造血因子製剤(ESA)投与による治療で改善することができた.この結果はCDK患者における鉄代謝異常に伴う病態の改善を目指した新しい治療戦略に発展する可能性がある. [目的・対象] CKDが進行した末期腎不全の患者ではフラタキシン発現の低下および鉄代謝の異常がみられる.われわれはこれまでに,鉄代謝の調節因子でありミトコンドリアに存在するフラタキシン蛋白の発現低下を明らかにし,さらに炎症および酸化ストレスの関連について報告してきた.鉄代謝異常を伴う末期腎不全患者を対象として,鉄代謝異常の改善を目的としてESAを用いた貧血治療を行い,フラタキシンおよび鉄制御ホルモンであるヘプシジン,炎症,酸化ストレスへの影響を検討した. [結果・考察] ESAを用いた貧血治療によって鉄代謝は改善し,低下していたフラタキシン蛋白の発現は有意に増加,上昇していたヘプシジンは低下した.抗酸化能のマーカー(GSH/GSSG)は回復傾向を示し,酸化ストレスマーカー(AOPPおよびペントシジン)は低下傾向をみとめた.以上の結果から,フラタキシンの回復を伴う貧血治療は鉄代謝異常を改善することで,酸化ストレスによる病態を改善させる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
いまだ原著論文としての成果が得られていない.その理由として対象患者数が少ないことが決定的な問題点の一つである.対象条件を満たす患者は極めて少なく10名あまりであったうえに,脱落に加えて測定用検体の処理による不安定さが解決できなかったことから,さらに解析可能な患者数の減少がさけられなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の戦略として,最も望ましい方針は対象患者を増やすことであるが,実際には該当患者はほぼ存在しないのが現状である(腎臓病患者に対する貧血治療がここ数年で大きく変化したため).よって現在得られているデータを最大限に利用するしかなく,当初予定していた医学雑誌以外も投稿先を模索する予定である.成果が活かされるよう最大限努力する所存である.
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Causes of Carryover |
消耗品が予定より廉価であったため,次年度使用が発生した.次年度において研究に必要な消耗品の購入等に使用する予定である.
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