2016 Fiscal Year Research-status Report
内皮細胞特異的分子エンドカンによる糖尿病性腎症治療法構築のための基盤研究
Project/Area Number |
16K09636
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
桑原 篤憲 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50368627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701)
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70449891)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖鎖異常 / 糸球体内皮 / 糖尿病性腎症 / 血管新生 / 糖タンパク / デルマタン硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エンドカンは血管内皮細胞で産生されるデルマタン硫酸プロテオグリカンであり、内皮細胞障害に伴い発現が増加する。エンドカンはそのデルマタン硫酸の糖鎖の有無により機能が異なる。エンドカンの糖鎖結合部位は明らかとなっており、この部位のアミノ酸を、遺伝子に一塩基遺伝子変異を入れることで他のアミノ酸に置換し、糖鎖の結合しない糖鎖欠損型エンドカンを作成した。糸球体内皮およびメサンギウム細胞に対するエンドカンの役割が、デルマタン硫酸糖鎖の有無により違いが生じるのかを培養糸球体内皮細胞(hGEnC)/培養メサンギウム細胞(MES)と、合成糖鎖型エンドカン/合成糖鎖欠損型エンドカンを用いて検討した。HEK293細胞に糖鎖型/非糖鎖型エンドカン発現plasmidを導入し、分泌型エンドカンを培養上清より回収する。分離精製したエンドカンをhGEnC、MESの培養液に添加し、増殖Assay、血管新生Assay、Apoptosisに対する反応の解析を行った。Recombinant エンドカン (糖鎖無し) も購入し、実験を行った。Recombinant エンドカンは、hGEnC、MESのいずれの細胞に対しても、細胞増殖、細胞死、細胞遊走、血管新生に影響を与えなかった。HEK細胞で合成した糖鎖不全エンドカン (S137A) も、糖鎖不全のないエンドカンも同様に、細胞増殖、細胞死、細胞遊走、血管新生に影響を与えなかった。In vitroにおいて、エンドカン単独では内皮細胞、メサンギウム細胞へは何ら影響を及ぼさないことが判明した。VEGFとの共刺激による血管新生Assayも行ったが、合成糖鎖型エンドカン/合成糖鎖欠損型エンドカンいずれも作用に差が無かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内皮特異的ドキシサイクリン調節性エンドカン過剰発現マウスを作成のため、Jackson-Labより購入したVEcadherin-tTA過剰発現マウスのtTA発現量が低く、実験に用いることが出来なかった。また、TRE-エンドカン過剰発現マウスも2系統しか出来ず、いずれも遺伝子導入数が十分でなく、内皮特異的ドキシサイクリン調節性エンドカン過剰発現マウスの作成が困難となっている。このため、分泌型エンドカンを肝臓で過剰発現させ、in vivo実験に用いる予定である。現在、plasmidの調整終了し、ハイドロダイナミック法で遺伝子発現を確認したところである。今年度、in vivo実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) エンドカン発現変化及びその糖鎖修飾変化の検討を行う。 (2) in vitro実験は、合成糖鎖型エンドカン/合成糖鎖欠損型エンドカンと白血球との相互作用を検討する。Monocyte上に発現するCD11a/ lymphocyte function-associated antigen 1 (LFA-1)とエンドカンが接着し、in vivoでの白血球浸潤抑制に働く可能性を検討する (3) in vivo実験では、エンドカン/糖鎖欠損型エンドカン過剰発現マウスにSTZ誘発糖尿病マウスを作成する。糖尿病発症後、2週間、8週間、24週間の時点での腎機能を比較する。
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Causes of Carryover |
平成28年度に予定していたエンドカン発現変化及びその糖鎖修飾変化の検討がモデルマウス作成の遅れから出来ていなかった。このため、in situ hybridizationによる検討が出来なかったため、この分の費用が残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度出来なかったin situ hybridizationに研究費を使用する。 Western blot用抗体、Real time PCR probe・primer、Western blot・Real time PCR関連試薬、Transfection用関連試薬、Electroporation関連試薬、LC-MS用関連試薬、クロマトグラフ用試薬を予定通り購入する。
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