2016 Fiscal Year Research-status Report
高血圧感受性遺伝子ATP2B1の血圧調節およびCa代謝に与える影響に関する研究
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16K09648
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
平和 伸仁 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (20315766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷津 圭介 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (10457856)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高血圧 / ATP2B1 / ノックアウト / トランスジェニック / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
ATP2B1は、日本人を含むアジア人、さらに欧米人でも血圧と関係する遺伝子であることをゲノムワイド解析等で証明してきた。しかし、そのメカニズムについては、不明であったため、我々は Cre-loxシステムを用いた、ATP2B1の発現低下マウスを用いてその意義を解析してきた。 平成28年度は、血管平滑筋特異的なATP2B1ノクアウト(KO)マウスを用いて、さまざまな降圧薬を用いて、血圧の低下作用についてその特色を検討した。本研究は現在、論文として専門誌に投稿中である。さらに全身のヘテロKOマウスを用いて、そのCa代謝について精査を行った。本マウスにおいても高血圧を生じたが、同時に低Ca血症を呈していた。このため、本モデルマウスを用いて、骨代謝を含めた検討を行った。低Ca血症を生じているため、反応性にPTHが増加して骨回転が高まることが考えられたが、実際にはそのような病態を示すことはなかった。現在、そのメカニズムを詳細に検討を続けている。 血圧に関して、ATP2B1の発現低下が細胞内のCaの汲み出し力低下によって、血管平滑筋の収縮力を高めて血圧上昇に寄与することが示されてきたが、一方で、ATP2B1の過剰発現が血圧などに与える影響は、知られていない。我々は、ATP2B1の過剰発現モデルであるトランスジェニック(TG)マウスの確立をすすめるとともにマウスの交配・繁殖を行った。作成されたTGマウスは、ATP12B1mRNAがコントロールマウスと比較して、3-6倍発現することが明らかとなった。そこでこのマウスを用いて血圧測定や生化学的な検討を行った。ATP2B1の過剰発現マウスでは、体重や脈拍には差を認めなかったが、血圧が低下する傾向を示した。しかし、電解質に異常を認めなかった。現在、テレメトリー法による血圧の詳細な検討確認など、詳細な研究を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主に4つの研究を中心にすすめることができた。 まずは、ATP2B1の血管平滑筋KOマウスを用いて、ATP2B1の血管壁での発現のみを低下させたマウスの臨床的、生理的、薬理的な意義を検討するとともに、ATP2B1の役割を明らかにすることである。本研究では、カルシウム拮抗薬に特異的な反応性を認めることを明らかにして、現在、論文を投稿中である。 次に、ATP2B1の全身ヘテロ発現マウスを用いて、そのCa代謝を詳細に検討するものである。すでに基本データ、血圧データ、生化学データ、分子生物学的データ、骨解析などが順調に進んでいる。次年度には論文化を試みる予定である。 そして、ATP2B1の過剰発現マウスモデルを用いた解析では、当初の予定である2種類にTGマウスの交配と血圧の特徴など、その生物学的意義が明らかにされつつある。本研究についても次年度に論文化できるように、鋭意研究を遂行している。 尿細管特異的ATP2B1遺伝子KOマウスにおけるCa代謝についても順調に経過しており、論文投稿中である。 このように、当初の予定をほぼ計画通りすすめることができている。今後も、研究が過不足なく進行するように、注意して研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな新規知見が得られてきた。よって、次年度については、すでに明らかにしてきた研究内容を論文化することを進めるとともに、不足データについて迅速に追加研究できる体制を整えること、そして、さらなく本研究の発展のための基礎的な検討を続ける予定である。 今後、腎臓のみならず、骨や消化管などのCa代謝について明らかでないなど、幾つか新規に興味が持たれる知見が得られている。さらなる臓器特異的なKOマウスの作成など、大規模な計画の拡大についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者が次年度での使用を希望されました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に、消耗品代等で使用予定とされています。
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