2018 Fiscal Year Annual Research Report
Novel Therapeutics for Vascular Calcification
Project/Area Number |
16K09655
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 理 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (00306713)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管石灰化 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病では、心血管イベントの発症率が有意に高いことが知られている。両者の関係は「心腎連関」という言葉で表現されるが、とくに慢性腎臓病においては血管石灰化病変の形成・進行が、心血管イベントの発生に大きく関与している。血管石灰化病変を克服することが慢性腎臓病患者の生命予後を改善するものと期待されている。本研究では慢性腎臓病における血管石灰化の分子機構の解明と治療標的分子の同定を目的として、培養細胞およびモデル動物を用いて検討を行った。 慢性腎臓病に伴って血管石灰化を引き起こすマウスモデルを用いて検討を行った。慢性腎臓病を起こしたマウスに高リン食を投与すると、著明な血管石灰化が大小さまざまな血管に現れた。この動物に高リン血症治療薬を投与すると、石灰化は減弱した。このマウスは高サイトカイン血症も呈しており、サイトカインの阻害薬を投与することでも石灰化が抑制された。血管平滑筋において、サイトカインのシグナル伝達物質であるNF-kBを阻害するマウスを作製して、そのマウスに石灰化を誘導したところ、石灰化はコントロールマウスと比較して有意に減弱していた。 これらの結果は平滑筋においてサイトカインによって誘導された炎症が、血管石灰化に重要な役割を果たすことを示している。 慢性腎臓病では、平滑筋細胞だけでなく内皮細胞やマクロファージなどでも、炎症の活性化状態にあることが予想される。それぞれの細胞選択的に炎症を抑制した場合、血管石灰化の形成・進行がどのように変化するのか、今後の解明が期待される。
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Research Products
(2 results)