2016 Fiscal Year Research-status Report
妊娠高血圧症候群に胎内で曝露した児の小児期血圧値の検討
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16K09662
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
三戸 麻子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 内科系専門診療部, 医師 (20468474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 なほ子 東邦大学, 看護学部, 准教授 (20398671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 妊娠高血圧腎症 / 妊娠高血圧腎症 / 出生児血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年になり、胎内環境が将来の生活習慣病の素因を形成するという説(DOHaD説)が提唱されている。妊娠高血圧症候群 (Pregnancy induced hypertension: PIH) は、妊娠中期以降母体に高血圧を呈し、蛋白尿の有無によって妊娠高血圧腎症(Preeclampsia: PE)や妊娠高血圧(Gestational hypertension: GH)にわけられる。最近、欧米からのシステマティック・レビューでPIH を発症した女性から生まれた児、つまり胎内で母体の高血圧状態に曝露された児の血圧予後が明らかとなっている。しかし本邦においてPIH 女性から産まれた児の小児期の血圧予後については報告がなく、本研究ではPIH の胎内環境が、生まれた児の血圧にどのように影響するかを幼児期・学童期と継時的に明らかにすること、また関連するリスク因子を選定することが目的である。 以前より当院で行っているPIH母児の出産5年後母児健診を継続して行い、PE母児29組・GH母児43組を解析し、正常血圧妊娠であったコントロール746組と比較検討した。PE児の血圧(収縮期/拡張期)(mmHg)は101.0±14.3/59.2±10.8、GH児は100.6±9.7/61.5±9.8、コントロール児は102.4±10.8/61.5±9.8と有意差を認めなかった。 背景因子として、出生児体重(g)(PE/GH/コントロール)は2135.6±829.8/2599.0±604.2/2985.9±403.4、在胎週数(週)は36.0±3.7/37.8±2.3/39.2±1.6とPE・GH児でコントロールと比較して有意に修正体重が軽く、在胎週数が短かった。健診時BMIと体脂肪率は有意差を認めなかったがHbA1cはPE・GH児で有意に高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出産5年後・5歳児母児健診は順調に進んでいるが、9年後・9歳児健診のデータ整理が予定通り進まず解析に至らなかった。来年度は5年後健診を継続しながら9年後・9歳児健診データの整理を中心に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き出産5年後母児健診を継続する。9年後母児健診のデータ整理・解析を行い、経時的な変化についても解析をしていく。とくにPE児のデータ集積に重点をおいて症例の集積を行い、血圧値に関連する交絡因子の解析を進めていく。症例数が達すれば、児の出生体重、早産の有無、健診時BMI、体脂肪率、母体の妊娠時情報、BDHQ による塩分摂取量等の説明変数を用いて多変量解析を行い、母体のPIH 発症と出生後の小児血圧値の関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
9年後健診のデータ整理が終了しなかったため、28年度分より次年度使用額が生じたと考えられます。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は従来の予定通り、健診症例の集積とともにに9年後健診データ整理と解析をすすめる予定です。
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