2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠高血圧症候群に胎内で曝露した児の小児期血圧値の検討
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16K09662
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
三戸 麻子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 内科系専門診療部, 医師 (20468474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 なほ子 東邦大学, 看護学部, 准教授 (20398671)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 妊娠高血圧症候群 / 生活習慣病 / 長期予後 / 高血圧 / 児 / 母 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はおもに産後9年母児健診の結果解析をおこなった。9年後健診には668名の母親、707名の児が参加した。合併症妊娠(高血圧3名、糖尿病1名、腎疾患1名、膠原病4名)の母児を対象から除外した。698名の児のうち測定拒否3名、血圧測定拒否4名、採血不備13名(うち重複1名)をのぞいた679名の児を解析した。16名の児が胎内で妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorders of pregnancy: HDP)に曝露されており、663名のコントロールと比較検討した。 【児血圧】日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2014では幼児の高血圧基準は120/70 mmHg、小学校低学年は130/80 mmHgである。9歳健診で高血圧を認めた児は22名で、そのうち1名がHDP曝露児であった。9歳時の高血圧はHDP曝露群で6.3%、正常血圧群で3.2%であった。また22名のうち、5歳健診時にすでに高血圧を認めていた児は4名で、HDP曝露児も含まれていた。HDP曝露児の9歳時の血圧平均は101±9/ 66±12 mmHg、正常血圧妊娠より出生した児の血圧平均は98±10/ 60±10 mmHgで拡張期血圧がHDP曝露群で有意に高かった。 【母血圧】合併症妊娠を除外した663名の母親を対象とした。そのうち血圧測定拒否3名、1回のみの血圧測定4名、採血不備2名(検体量不足1名、採血拒否1名)を除外した654名を解析した。HDP女性15名とコントロール639名を比較した。 9年後健診で新たに高血圧症と診断された女性は14名、5年後健診時にすでに高血圧と診断された女性を合わせると計30名の女性が高血圧症と診断された。そのうち4名がHDP女性(妊娠高血圧腎症1名、妊娠高血圧3名)であった。HDP女性のうち26.7%、正常血圧妊娠女性のうち4.1%が産後9年後健診で高血圧症と診断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究代表者が育休を取得したために、当初の計画よりも5年後健診が進行しなかった。産後9年健診の解析はおおむね順調に進んでいるが、背景因子の調整などこれから解析を進める部分も残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
産後9年経過すると転居によるフォローアップ率の低下などが懸念される。またこれから産後5年を迎える女性たちは研究代表者が実際に妊娠中の診療を担当したこと等から、5年後健診に重点をおいたほうが、よりケース症例が集まることが予想される。HDP母児の5年後健診受診者は現在72組(妊娠高血圧腎症29組、妊娠高血圧43組)に達しているが病型分類別の予後をみるには更なる症例が必要である。引き続き5年後母児健診を継続する。また、研究代表者が育休期間で健診を遂行できなかった症例に関しても、院内で代替するデータがないかどうかなどを含めて方法を改めて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者が産前産後・育児休暇を取得したため、研究実施が困難であったため。
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Research Products
(1 results)