2017 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経炎症性脱髄疾患におけるペルオキシレドキシンを標的とした革新的治療法開発
Project/Area Number |
16K09691
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鵜沢 顕之 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10533317)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 聡 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70282481)
森 雅裕 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (70345023)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / ペルオキシレドキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は多発性硬化症、視神経脊髄炎患者の再発時・急性期治療前の血清(各群n=10)と髄液中(各群n=16)のペルオキシレドキシン1,5,6の濃度の測定をELISA法で行った。対照として非炎症性神経疾患の検体を用いた。その結果、視神経脊髄炎、多発性硬化症において、血清ペルオキシレドキシン5濃度およびペルオキシレドキシン6濃度が疾患対照と比較して有意に高値であったが、血清ペルオキシレドキシン1濃度に差は認めなかった。一方で髄液中のペルオキシレドキシン1,5,6の濃度を測定したが、各群で有意な差を見いだせなかった。 また、C57/B6マウスにミエリンオリゴデンドロサイトを免疫して多発性硬化症のモデル動物(EAE)を作成し、症状がピークを迎えたところでモデルマウスを剖検し脊髄の標本を作製した。脊髄標本はHE染色、GFAP染色、CD3染色、F4/80染色を行った。さらにペルオキシレドキシン1-6での免疫染色を行ったところ、ペルオキシレドキシン5のみが有意に染色された。ペルオキシレドキシンで染色される細胞はGFAP陰性でCD3陽性であり、浸潤しているTリンパ球が主体と考えられた。 患者検体を用いた検討、動物モデルを用いた検討から、EAE、多発性硬化症の病態にペルオキシレドキシン5やペルオキシレドキシン6が関与している可能性を見出した。今後さらに検討を深め、ペルオキシレドキシンが中枢神経炎症性脱髄疾患(多発性硬化症、視神経脊髄炎)の病態に関わる機序の解明や治療応用を目指す予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験はおおむね順調に進んでいる。現在までに患者血清、髄液中のペルオキシレドキシンのいくつかのサブタイプの測定を行い有意な上昇を確認している。またモデル動物を用いた病理学的検討でもペルオキシレドキシン5の病態への関与を明らかにしている。今のペースで研究を進めていければ十分に本研究課題の遂行が可能と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は上昇していたペルオキシレドキシン濃度と患者の臨床プロファイルの相関を詳細に検討し、ペルオキシレドキシンが中枢神経炎症性脱髄疾患(多発性硬化症、視神経脊髄炎)の病態に関わる機序の解明を目指す。 またモデルマウスにおいてペルオキシレドキシン抑制による治療応用の実験を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
消耗品の購入の際、値引きがあり、予定よりも安く購入できたため。
(使用計画) 繰越金が発生してしまったが、次年度の研究費とあわせて研究遂行に必要な物品などを購入していく予定である。具体的にはモデルマウス作成および治療介入実験に必要な物品を購入予定である。
|
Research Products
(21 results)