2016 Fiscal Year Research-status Report
アストログリアコネキシンの脳内免疫系賦活作用の抑制による多発性硬化症治療法の開発
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16K09694
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩雄 九州大学, 大学病院, 講師 (00701830)
真崎 勝久 九州大学, 医学研究院, 助教 (90612903) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アストログリア / コネキシン / ミクログリア / 多発性硬化症 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちは、中枢神経系の神経細胞以外の細胞=グリア細胞、とくにアストログリアが中枢神経炎症性疾患に病態機序に及ぼす影響を解析している。平成28年度は主に二つのプロジェクトを推進してきた。 まず中枢神経系では主にアストログリアに発現しているギャップ結合蛋白であるコネキシン30(Cx30)のの機能解析を行った。Cx30欠損マウスでは、野生型と比較し実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の症状改善を認めた。その病態としては、病変部で活性化しているもう一つのグリア細胞であるミクログリアの活性化状態が保護的に変化していたことが一因と考えられた。現在さらにその詳細を解析中である。 もう一つはコネキシン43(Cx43)の時限的・細胞特異的(アストログリア特異的)欠損マウスの解析である。Cx43の全身欠損マウスは胎内で死亡することから、Cx43のコンディショナル欠損(Cx43cKO)マウスを解析した。すると、Cx43cKOではやはりEAEが軽症化した。Glymphaticsとよばれる脳内細胞間質液の環流障害がおきている可能性があり、病態との関連性を検討している。脳室内に分子量の異なる色素を投与し、そのクリアランスを測定する予定。またCx43はごく微量ながら末梢血にも発現しているため、adaptive EAEを用いた結果の確認作業を検討している。 どちらのマウスモデルも、多発性硬化症の新規治療薬開発に寄与する可能性の高い重要な研究で、今後も継続していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験結果については、両モデルともに多発性硬化症モデルマウスの症状改善に成功している。 遺伝子改変マウスも順調に交配が進み実験に必要なマウスは十分に確保できている。Cd43cKOマウスについてはマウスの確保がCx30koマウスと比較しやや困難であるため引き続き注意深く交配を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初の研究計画どおりに進捗しているため大きな変更は予定していない。現在得られている研究結果のメカニズムについてより深く検討を重ねる。組織学的解析、マウスから採取したグリア細胞の遺伝子発現解析およびこれらを標的とした治療的研究(コネキシン阻害蛋白等)を検討している。
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