2016 Fiscal Year Research-status Report
アセチルコリン受容体にフォーカスした自己免疫性自律神経節障害の多様性の解明
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16K09695
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| Research Institution | Kumamoto University |
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Principal Investigator |
中根 俊成 熊本大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (70398022)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 理 独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター(臨床研究部), その他の研究科, 研究員(移行) (50361720)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 自己免疫性自律神経節障害 / 抗自律神経節アセチルコリン受容体抗体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ルシフェラーゼ免疫沈降（LIPS）による抗gAChR抗体測定依頼のあった「何らかの自律神経症状を有する症例」を対象として下記の調査を行った。抗gAChR抗体陽性AAG症例の１）抗gAChR抗体プロファイル、２）臨床像（性差、発症年齢、先行感染の有無、初発自律神経症状、臨床経過）、３）各自律神経障害の頻度、４）自律神経系外症状（感覚障害、中枢神経症状、内分泌障害、腫瘍や自己免疫疾患の併存）の頻度、について調査した。LIPSについて健常人サンプルを用いたカットオフを設定しており、抗体インデックスが1.0以上で抗体陽性と判断している。
結果としては１）プロファイル：抗体陽性症例は123症例存在した。α3サブユニットに対して抗体陽性は75症例（61%）、β4サブユニットに対して抗体陽性は10症例（8%）、両サブユニットに対して抗体陽性は38症例（31%）であった。２）臨床像：発症年齢については平均57歳、性別による内訳では男性69症例、女性54症例が存在し、先行感染があった症例は17症例（14%）であった。臨床的には89症例（74%）が起立性低血圧もしくは起立不耐で発症し、臨床経過としては94症例が慢性であった（76%）。３）各自律神経障害の頻度：高頻度で80%以上の症例でみられたものは起立性低血圧もしくは起立不耐であった。他に下部消化管障害（便秘など）、排尿障害（尿閉など）が60%以上の症例でみられた。４）自律神経系外症状の頻度：感覚障害は46%、中枢神経症状は31%（抑うつ傾向、子供っぽい言動や行動、情動不安定、認知機能障害など）でみられた。併存する疾患としては腫瘍を11%、他の自己免疫疾患を38%、内分泌障害（SIADH、低ナトリウム血症、無月経など）を14%で認めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疫学的調査から始まり、これについては報告をまとめることができた。
今回の調査では抗gAChR抗体陽性AAG症例においては一定の割合で自律神経系外の症状もしくは障害を呈することがわかった4。なぜ、このようなことが起こるのかはまだ詳細な機序はわかっていない。
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| Strategy for Future Research Activity |
抗gAChR抗体陽性AAG症例は自律神経障害だけではなく、感覚障害、中枢神経症状、内分泌障害など多彩な臨床像を呈し、しばしば腫瘍や自己免疫疾患の併発を認める。
今後は新規自己抗体測定系（他の構成サブユニットに対する自己抗体）樹立を行い、またアセチルコリン受容体の各サブユニットについてもその局在を組織学的に確認する。
gAChRを構成するα3サブユニットやβ4サブユニットは自律神経節だけではなく、後根神経節や大脳（視床や下垂体を含む）にも局在することがこれまでの基礎研究からわかっている。自己抗体がこれらの部位に到達するためにはT細胞など他の免疫担当細胞やそれらが構成する免疫異常が必要であるが、本抗体を軸にした自己免疫基盤によって発症している可能性を考察している。
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| Causes of Carryover |
本年度は新しい抗体測定系の樹立に取りかかってはいるが、まだ軌道に乗っておらず、むしろこれまでの測定結果を用いた後ろ向き研究を重点的に行った。そのために次年度使用額が生じたものと考える。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では新しい抗体測定系の樹立を予定しており、すでに取りかかっている。この研究において使用することを計画している。
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Research Products
(6 results)
