2016 Fiscal Year Research-status Report
抗イディオタイプ抗体を用いたアルツハイマー型認知症のワクチン療法の開発
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16K09696
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藪内 健一 大分大学, 医学部, 助教 (10763807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 悦朗 大分大学, 医学部, 教授 (70219468)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / アミロイドベータオリゴマー / 抗イディオタイプ抗体 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症(AD)の病態生理において、amyloid β (Aβ)オリゴマーこそが脳内の様々な病的変化に先行してシナプス機能障害ひいては認知機能障害を引き起こす直接的原因であり、その根治にあたってAβオリゴマーは最も有力な治療標的分子と考えられている。申請者らは、AD モデルマウス脳内の神経細胞内外 Aβ オリゴマー蓄積抑制とシナプス蛋白保護効果・記憶障害発症予防効果を有し先制医療にも応用可能なモノクローナル抗体(日本特願 2008-201058, USP 9085614, USP 9090680, Mol Neurodegener 2011, J Neurosci Res 2011, J Gerontol Geriat Res 2012)と、いったん発症した記憶障害の回復と神経原線維変化形成阻止を可能とする根本的治療用抗体(日本特願 2008-201058, USP 9085614, USP 9090680, Life Sci 2012, Biomed Res Int 2013)開発に成功している。ところがこれらの抗体の臨床応用は特にコスト面において非現実的で、能動的免疫を用いた先制的ワクチン療法の開発が急務である。本課題では、上記の抗Aβオリゴマー抗体を動物に免疫し、Aβオリゴマーの立体構造を模倣する抗イディオタイプ抗体の作製し、それらがAβオリゴマー類似のアナログとして、能動的免疫療法に応用できるかを検討した。これまで、in vitroでの親抗体に対する中和活性を持つ1種類の抗イディオタイプ抗体を得ており、今回さらに強力で有効な抗イディオタイプ抗体の産生を目指した。Aβオリゴマー抗体の免疫回数、免疫寛容の導入など、様々な検討を行ったが、安定した中和活性を有する抗イディオタイプ抗体産生ハイブリドーマ系の確立には未だ至っておらず、実験条件の検討を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
目的とする抗イディオタイプ抗体を安定して産生するハイブリドーマ系の確立が予定通りに進捗していない。これまで、in vitro での有効性を確認できた細胞株1種(28A7)を得ることができており、まずその手順に準じて、さらに有効な抗イディオタイプ抗体の精製を企図した。その後、抗Aβオリゴマー特異的抗体 72D9 の免疫回数を様々変えて検討ししたが、親抗体の中和活性基準を満たすものは得られなかった。続いて、抗体産生を効率化するために、予め不要な IgG型抗体の仔マウスに免疫寛容を導入し、その後に免疫を行う方法にて検討したが、いずれも有効な株は得られなかった。 次に、28A7によるADモデル動物への in vivo 実験については、動物供与契約についての当大学の受け入れ態勢の調整に遅れが出てしまい、SPF飼育室のスペースが不足して受け入れができない状況であった。次年度、ようやく搬入飼育可能の目処がたったため、急ぎ in vivo 投与実験に取り掛かる。
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Strategy for Future Research Activity |
速やかに抗イディオタイプ抗体を産生するハイブリドーマ系の確立を目指す。場合によってはファージディスプレイ法の利用も考慮する。並行して、すでに得られた抗イディオタイプ抗体のCDR部の一次構造決定と、それに引き続くペプチドワクチン、DNAワクチンの作成を急ぐ。続いてADモデル動物を用いた in vivo 実験を開始し、その前臨床的有効性、安全性の検討を行う。
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Causes of Carryover |
ADモデルマウスの譲渡契約にあたり、当大学側の受け入れ体制の調整(主にSPFルームの確保など)に遅れが生じ、現時点で購入ができていないため、当初算定していた実験動物費並びに飼育費が執行できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
受け入れ態勢の調整が整う目処がついたため、動物購入及び飼育費にそのままスライドさせる予定である。
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