2016 Fiscal Year Research-status Report
HAMで同定した制御性T細胞由来異常T細胞のウイルス因子による発生機構の解明
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16K09702
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 知雄 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 准教授 (30387063)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HTLV-1 / Tax / 制御性T細胞 / HTLV-1関連脊髄症 |
Outline of Annual Research Achievements |
HTLV-1 関連脊髄症(HAM)の病態は、HTLV-1 感染細胞に起因した過剰な免疫応答による脊髄の慢性炎症と、それによる脊髄組織の破壊と変性であると考えられている。しかし、HTLV-1 がこうした免疫異常を引き起こす機構の詳細については不明な点が多く、その解明はHAM 発症メカニズムの理解およびその制御方法の開発に非常に有用である。これまで申請者らは、HTLV-1 関連脊髄症(HAM)の原因ウイルスHTLV-1 が高頻度に制御性T 細胞(Treg)に感染していること、またこのTreg がHTLV-1 の機能分子Tax の作用によって炎症促進的な異常T 細胞へ変化し、HAM の脊髄病変部に集積していることを発見している。そこで本研究では、申請者らが独自に作製した“Treg 特異的Tax 発現マウス”を用いて、HAM患者において見出されたTreg由来異常T細胞の発生機構を明らかにすることを目的とした。 “Treg 特異的Tax 発現マウス”は、Treg分化に重要なFoxp3遺伝子座にGFP(緑色蛍光分子)とCre酵素の融合遺伝子を有し、ROSA遺伝子座の1つのアレルにRFP(赤色蛍光分子)遺伝子を、もう1つのアレルにTax遺伝子を有するマウスである。このマウスは、Foxp3が発現誘導された細胞でGFPとCreを発現し、発現したCre酵素の作用によって、ROSA遺伝子座にあるRFPとTaxの発現が誘導される仕組みを有する。現在、フローサイトメーターを用いて、コントロールマウス(Foxp3遺伝子座にGFPCre、ROSA遺伝子座にRFP遺伝子のみを有する)の脾臓にGFP/RFP発現細胞を確認でき、Tax発現細胞をRFP発現細胞として検出する系を確立できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Foxp3遺伝子座にGFPCre、ROSA遺伝子座にRFP遺伝子のみを有するコントロールマウスの脾臓にGFP/RFP発現細胞を確認でき、Tax発現細胞をRFP発現細胞として検出する系を確立できた。しかし、目的とするTax発現マウスの脾臓細胞においてTax発現細胞(RFP発現細胞)を確認することができなかった。そのため、以後の解析が実施できておらず、現在までの達成度を「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、“Treg特異的Tax発現マウス”におけるTax発現Treg細胞の評価を試みる。本マウスのTax発現はFoxp3発現細胞において生じる。このFoxp3の発現はTregを含むT細胞分化が盛んな週令の若いマウスの胸腺で起こっていると考えられる。したがって、Tax発現Treg細胞(RFP発現細胞)の探索を、週令の異なるマウスの胸腺を中心に実施する。それでも、Tax発現細胞を認めなかった場合には、Taxが細胞死を引き起こしている可能性を検討するとともに、Treg細胞としてCD4+CD25+ cells上の表現型を解析するという計画へ変更する。
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Research Products
(20 results)