2017 Fiscal Year Research-status Report
免疫グロブリン様受容体によるウイルス誘導性脱随疾患モデルの発症機序の解明と制御
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16K09703
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中村 晃 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (20344723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 多発性硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス (TMEV) 感染による脱随疾患モデルは多発性硬化症 (MS) の代表的な疾患モデルある。TMEVは神経系細胞も含め多種の細胞に結合し感染するが、認識する受容体は不明のままである。申請者らは、TMEVが免疫グロブリン様受容体であるSiglec-Eに結合することを見出した。そこで本研究においては、TMEV誘導性脱随疾患モデルにおけるSiglec-Eの寄与を追求することにより、多発性硬化症の新たな発症機序の解明と治療標的分子としてのSiglec-Eの可能性を追求することを目的とした。平成29年度は 平成28年度から継続して細胞株においてTMEV受容体としてのSiglec-Eの寄与を明らかにすることを計画した。初めに前年度見出したTMEV非感染細胞においてSigle-Eの恒常的発現株を樹立した。その結果、Siglec-E単体の発現では、感染成立には不十分であることが判明した。一方、TMEVは、形質細胞様樹状細胞に結合しないことから、脂質構成成分を検討したところ、樹状細胞と全く違う構成を有していることが判明した。すなわち脂質構成成分は、ウイルスの侵入経路であることが強く示唆された。今後Siglec-Eのみならず、脂質成分に凝集する共受容体の同定を行う予定である。また、レンチウイルスベクターでの制御ではなく、脂質構成を阻害する酵素阻害剤による治療実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたSiglec-Eが、感染には必須ではない可能性が高いことが判明したが、共受容体の存在は予想してしており、非感染株の発見のみあらず、脂質構成成分の違いからさらなる受容体の同定が可能となったと考えている。新たな発見は、治療薬につながる結果を得られており、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
非感染株での共受容体の同定を試みる。さらにレンチウイルスベクターによる治療実験とともに脂質構成成分に影響を与える阻害剤による実験を追加し、多発性硬化症モデルの治療実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画ではSiglec-Eのレンチウイルスベクターの作成費用として計画していたが、脂質構成成分の詳細な解析ために、研究費用として次年度予算により多く計上する必要が生じた。
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Research Products
(7 results)