2017 Fiscal Year Research-status Report
多発性硬化症を統制する多能的特異的制御性T細胞による自己免疫ワクチンと慢性期治療
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16K09706
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
林 幼偉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 免疫研究部, 併任研究員 (80392439)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己免疫ワクチン / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / 抗原特異的制御性T細胞 / 多発性硬化症 / 組織修復能 / 脳炎惹起性ペプチド / 寛解不全と進行 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経症状の再発・寛解の時期を経て慢性に進行するという経過を特徴とする多発性硬化症(MS)の動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において、長期の寛解維持を担う要因として脳炎惹起性ペプチドのヒエラルキーの中で最上位の優位ペプチドで感作すると抗原特異性の高いCD69CD103共陽性のCD4+CD25high制御性T細胞(=DP-Treg)が誘導・維持されること、DP-Tregが炎症性T細胞と表現型を共有するhybrid Tregを含有し炎症環境下でも安定して疾患制御能を発揮できることがこれまでの研究で明らかになった。 本研究では、このDP-Tregが炎症性T細胞と入れ替わりには発症ピーク以降に誘導・維持される機構と、組織選択的に炎症抑制能を発揮し、さらに組織障害の修復に関与しうる機構とを解明し、疾患を統制する自己免疫ワクチンの適正化と慢性病態に対する治療へ応用を目標とした。すなわち(A) DP-Tregの誘導・維持機構(規定因子);(B) DP-Tregの作用機構(疾患抑制効果);(C) ペプチドワクチンへの応用の3つの観点から解明することとした。 本年度は(A)に関連して、DP-Tregの中で最も他のサブセットとの差が大きく発現量も高い遺伝子がpreproenkephalin (PENK)であることがmicroarrayでの解析により判明した。siRNAを用いてPENKを除去したところ、最上位の優位ペプチドで惹起される進行性病態を伴わない単相型EAEでも、それ以外のペプチドで惹起される進行性病態を伴う再発型EAEに匹敵する再発・再誘導への感受性が惹起されることが確認できた。 また(C)に関連して、ペプチドを不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合した場合にはEAEが惹起されないことを利用し、EAEを惹起せずに最上位の優位ペプチドを感作することでその後の追加免疫によるEAEの発症や再発・進行性病態を抑制できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DP-Tregの誘導・維持機構(規定因子)のうち一部の項目(誘導機構)について、生体内での発現量を調べることを試みたが、フローサイトメーター用の試薬がなく他の染色法で用いられる試薬を工夫して使用し染色を試みたがうまくいかなかった。その代わりDP-Tregに最も重要であると推定される遺伝子が明らかになり、siRNAを用いたその発現修飾により作用機序の解析ができた。 先送りになったDP-Tregの誘導・維持機構の残りの部分に関しては、当初の予定にはなかった手法で感作ペプチドと抗原提示細胞との結合度の関与が推定される結果が得られた。 またペプチドワクチンへの応用に関しても、従来EAEを発症しない条件としてペプチド寛容化条件以外に、ペプチドを不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合して感作する方法でも可能であり、ペプチド特異的な抑制しか得られないペプチド寛容化条件とことなり脳炎惹起性ペプチドに対し普遍的に抑制が可能であることが示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
先送りになったDP-Tregの誘導・維持機構の残りの部分に関しては、感作ペプチドと抗原提示細胞との結合度の関与が推定される結果が得られたため、結合度に左右される免疫シナプスの解析を通じて解明していきたいと考えている。 DPTregの作用機序に関してもPENKの発現の有無で実際に組織修復が可能かどうかを培養実験で検討する。 またペプチドワクチンへの応用に関しても、ペプチドを不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合して感作する以外にもペプチド寛容化条件でもEAEが惹起されないことから、これら二つの方法においてDP-Tregの関与と抑制対象の範囲を比較していこうと考えている。 昨今の動物供給が削減されているという制約もあるが、費用の問題と合わせて優先順位を設け、できるだけ研究の本筋に重点をおいて施行することにする。
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Causes of Carryover |
残額は2758円であり、試薬購入には不足するので次年度に繰り越して使用する
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Research Products
(3 results)