2019 Fiscal Year Annual Research Report
Disease-specific change of human brain network
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16K09715
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高屋 成利 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師/客員研究員 (70444495)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳神経内科 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経疾患は脳内の単一部位の障害ではなく、神経ネットワークの障害としてとらえて病態生理の解明および治療法の開発を行うことが肝要である。最終年度はこれまでの成果をもとに、神経線維束の大脳皮質内投射分布の違いに基づく神経疾患ごとの臨床応用について調べて成果を得た。脳卒中後てんかんにおいては、発作焦点のみならず、てんかん性活動が神経線維に沿って伝搬して投射領域の大脳皮質においても血流低下が認められ、この血流低下は発作後数日にわたって遷延することを見いだした。脳卒中後てんかんは診断が困難であることが多いが、今後は発作焦点のみならず、てんかん性活動が神経線維連絡に沿って伝搬する領域の血流低下を脳血流SPECTによって検出することが診断の一助になることが示唆された。パーキンソン病では進行期において姿勢異常が出現して転倒による骨折のリスクになるため、その病態解明および治療方法の開発は臨床的に重要である。このような姿勢異常のあるパーキンソン病患者では垂直認知の障害が認められ、その障害がパーキンソン病の病変の主座である基底核からの神経線維の投射の存在が考えられる右頭頂側頭連合皮質の機能低下と関連することを見いだした。今後は、同領域のニューロモデュレーションにより症状の改善にむけた取り組みが期待される。安静時の大脳皮質の血中酸素濃度に依存する信号(BOLD 信号)は低周波の揺らぎを呈しており、この揺らぎの相関を調べることで大脳皮質間の機能的結合を調べることができることが近年報告されている。脳内における安静時のBOLD信号の低周波の揺らぎの経時的推移を空間的に辿ることによって、慢性虚血脳における脳血管反応性の変化を調べることができ、バイパス手術適応の評価に利用できる可能性を報告した。
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