2016 Fiscal Year Research-status Report
筋萎縮性側索硬化症の病早期白質浸潤ミクログリアによる運動ニューロン逆行性変性起源
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16K09721
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
林 信太郎 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90312876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 亮 九州大学, 医学研究院, 准教授 (10467946)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 活性化ミクログリア / 脊髄前側索 / galectin-3 / 運動ニューロン変性 / 遺伝子 / TDP-43 |
Outline of Annual Research Achievements |
孤発性ALS7例とコントロール5例のホルマリン固定、パラフィン包埋5μ厚脊髄水平断切片を用いてIba-1、CD68、TDP-43、活性早期発現遺伝子 (4~24 hr)であるosteopontin (Ost)、活性後期発現遺伝子 (3-7 days) であるgalectin-3 (Gal3)への一次抗体を用いて免疫染色を行った。錐体路 (CST)、CSTを除く前側索 (ALFoc)、灰白質前角 (AH)における免疫陽性細胞数とTDP-43病理を有する運動神経細胞数を定量した。この結果、Ost陽性細胞はAHに、Gal3陽性細胞はALFoc/CSTとに明確に分かれて認めた。Iba-1/CD68染色とOst/Gal3染色で認める陽性細胞 (+)の形態は一致しており、AHでは点/円状、ALFoc/CSTでは泡沫状であった。Iba-1 +に対するOst/Gal3+の割合は58.5/36.4%であった。相関解析では、ALFocに存在するGal3+数のみTDP-43病理を有する運動神経細胞数と正相関したが (r=0.559, p=0.018)、Ost+や他の領域について相関はなかった。以上よりALS脊髄ではMi/Mφの浸潤がAHよりもALFoc/CSTで先に生じる可能性が考えられた。この所見との比較のため、当科でRed-Greenマウス (CCR2-RFP/CX3CR1-GFPマウス) ×mSOD1マウスを作成し解析した。この結果、脊髄より早期に脊髄前根でCX3CR1+ (常在性ミクログリア)、CCR2+ (末梢血単球)の活性化がみらた (CX3CR1: 前根では8週、灰白質は12週より。CCR2:前根では8週、灰白質は20週より)。髄内(ヒト)か髄外 (本マウス)の違いはあるが、グリアは灰白質前角よりも先に前根で活性化する可能性が示唆され、ALSの変性起源を考える上で新たな知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALSの脊髄における活性化ミクログリアについて、活性後の時間経過で変動する発現遺伝子プロフィールに着目した研究は皆無であった。しかし本研究により活性早期発発現遺伝子であるosteopontinは運動ニューロンの存在する脊髄灰白質に、活性後期発現遺伝子galectin-3は灰白質に隣接する前側索にそれぞれ局在を示し存在する事を世界で初めて示した。さらに我々の作成したRed-Greenマウス (CCR2-RFP/CX3CR1-GFPマウス) ×mSOD1マウスはALSのグリア性炎症モデルとなる可能性を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
孤発性ALS患者脊髄における活性化ミクログリアの遺伝子発現プロフィールは未知であったので、当初の研究計画で探索する遺伝子を広範囲に設定したが、本研究により、galectin-3とosteopontinという二つの遺伝子候補を見出すことができた。この結果を利用し、今後ヒト脊髄とモデルマウス脊髄に出現する活性化ミクログリアの発現遺伝子パターンと運動ニューロン変性との相関解析、ISHと免疫組織化学の二重染色を用いて灰白質、前側索、錐体路の3領域に分けたミクログリアの特性を解析する予定である。
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Research Products
(11 results)