2016 Fiscal Year Research-status Report
転写因子CREB3L3による複合的な生活習慣病改善に関わる新規因子の同定
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16K09738
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩崎 仁 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20626874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 嘉 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80361351)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖代謝 / FGF21 |
Outline of Annual Research Achievements |
CREB3L3の脂質代謝制御メカニズムに関する報告はあるが、肥満や糖代謝に関する機能や、誘導・活性化因子については不明な点が多い。本研究では、肝臓でCREB3L3を過剰発現するトランスジェニックマウスを用いて、食餌誘導性の肥満および糖尿病における機能およびメカニズムを明らかにし、かつ、CREB3L3の誘導・活性化因子を評価・探索する。本研究によって、CREB3L3の誘導・活性化により新たな生活習慣病を包括的に予防・治療することが可能になることが考えられる。 CREB3L3はFGF21の発現を誘導することで糖・脂質代謝を改善することを報告している。CREB3L3過剰発現にFGF21 RNAiでFGF21をノックダウンさせると脂質代謝の改善は消失したが、糖代謝の改善は影響しない結果を得ていた。本課題では遺伝子改変マウスを使い、上記結果を確認し、味解であった糖代謝への影響の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。 CREB3L3 TgマウスとFGF21 KOマウスを交配し、CREB3L3 Tg FGF21 KOマウスを作製した。高脂肪・高ショ糖食を負荷するとCREB3L3Tgマウスで見られた体重増加の抑制が見られなくなった。脂肪組織重量の増加の抑制にはCREB3L3-FGF21の経路が関わることが明らかとなった。しかしながら、やはり、糖代謝に関わる点についてはインスリン負荷試験でのCREB3L3 TgマウスのWTマウスと比較した改善効果がCREB3L3 Tg FGF21 KOマウスでも見られた。網羅的な遺伝子解析から新たなCREB3L3の標的遺伝子を同定し、その分子のアデノウイルスRNAiを作製した。現在、CREB3L3 Tg FGF21 KOマウスへ作製したアデノウイルスを投与し、その効果を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CREB3L3の糖代謝改善に機能する可能性のある標的分子を新たに同定し、その機能を現在、解析している。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓の培養細胞を用いてCREB3L3の遺伝子発現や活性化を、CREB3L3は栄養飢餓時に誘導・活性化することを鑑み、栄養飢餓時に血液中や肝臓中で変化する因子や、生活習慣病改善効果が報告されている化合物を中心に評価・探索する。 細胞レベルでスクリーニングしたCREB3L3を誘導・活性化する物質を、マウス個体に投与し肥満抑制効果や糖代謝改善効果を評価する。また、CREB3L3ノックアウトマウスにも投与しその物質による病態改善効果がCREB3L3によるものであることを示す。
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