2017 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞保護におけるEpac2A/Rap1シグナルの役割とその機序の解明
Project/Area Number |
16K09749
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 晴美 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (50546489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 膵β細胞 / インクレチン / cAMP / Epac2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、膵β細胞保護作用におけるEpac2A/Rap1シグナルに焦点を当て、そのメカニズムの解明ならびに病態生理学的な役割の解明を目的としている。 1) 膵β細胞保護作用におけるEpac2A/Rap1シグナルの役割:平成28年度に確立したROSの測定法を用いて、パルミチン酸などの酸化ストレスを誘発する薬剤の膵β細胞株MIN6への効果を検討した。また、これらの薬剤により酸化ストレスに対するcAMPシグナルの効果を検討した。 2) Epac2欠損膵β細胞株の作製:平成28年度に作製したEpac2欠損膵β細胞株について、引き続きゲノムDNAレベル、mRNAレベルおよびタンパク質レベルでのEpac2欠損の確認を行い、さらに欠損株の機能特性について検討を行った。最終的に得られた数種の欠損株において、Epac選択的AMPアナログやインクレチンによるインスリン分泌およびスルホニル尿素薬とインクレチンの併用によるインスリン分泌の低下が認められた。これらの欠損株は今後のEpac2/Rap1の下流シグナルの探索およびパルミチン酸等による酸化ストレスや細胞傷害に対するβ細胞保護作用におけるEpac2の役割を明らかにする上で有用なツールとなる。 3) Rap1の下流因子の同定:平成28年度でHisタグおよびFLAGタグを融合したRap1をMIN6細胞に発現させ、アフィニティ精製を行ったが、精製効率の向上が必要と思われたため、今年度はタグを改善したRap1融合タンパクを発現するベクターの構築を行った。上記のEpac2欠損株と組み合わせることで、より効果的にRap1結合分子を精製することが可能となると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養細胞を用いた研究はほぼ計画通りに進んでいるが、糖尿病モデル動物やEpac2A欠損マウスを用いた解析が進んでいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 平成29年度までに作製したEpac2欠損膵β細胞株を用いてパルミチン酸等の酸化ストレス応答におけるEpac2の役割を検討する。Rap1欠損膵β細胞株も同様に作製し、酸化ストレス応答の変化を検討する。 2) 平成29年度に作製したタグ融合Rap1をMIN6細胞またはEpac2欠損株に発現させ、アフィニティ精製を行いRap1結合タンパクを質量分析にて同定する。 3) 薬剤誘発性糖尿病マウスや糖尿病モデル動物の膵臓組織における酸化ストレスの状態を検討する。また、Epac2A欠損マウスを用いて薬剤誘発性糖尿病または食事誘導性肥満マウスを作製し、膵β細胞機能障害および膵島の酸化ストレス状態について検討する。
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Research Products
(12 results)