2017 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞脱分化・運命転換の成因解明に基づいた糖尿病治療の研究
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16K09752
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| Research Institution | Yamaguchi University |
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Principal Investigator |
田部 勝也 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00397994)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 幸生 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00217142)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 糖尿病 / 膵β細胞 / WFS1 / 脱分化 / 小胞体ストレス |
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| Outline of Annual Research Achievements |
我々は若年発症の糖尿病を主徴とするWolfram症候群のマウスモデルWfs1欠損マウスでは膵β細胞が内分泌前駆用細胞へ脱分化し、さらに一部の細胞ではα細胞に再分化をきたすことを突き止めてきた。Wfs1欠損膵β細胞では小胞体ストレスおよび酸化ストレスが惹起され、脱分化との関連が推察される。一方、高血糖を呈していない若年Wfs1欠損マウスにGLP-1 analogを慢性投与したところ、薬剤中止後においてもインスリン分泌が野生型と同等にまで回復し耐糖能が改善した。この時酸化および小胞体ストレスマーカーが様々に軽減されβ細胞機能および分化維持に関連する遺伝子発現が回復した。β細胞では通常よりATP需要が高いが、Wfs1欠損β細胞ではストレス応答による一層のATP消費亢進が推察される。10週齢Wfs１欠損マウスの膵島ではグルコース誘導性の酸素消費およびATP上昇が著しく低下しておりインスリン分泌障害と関連した。さらに、Wfs１欠損膵島では糖系中間代謝物およびピルビン酸が野生型に比し有意に蓄積したが、アセチルCoA及びクエン酸の明らかな低下を認め、すなわちTCA回路が減弱し、ATP含量の低下をきたした。一方、20-24週齢Wfs1欠損マウスのβ細胞では、アポトーシス増加は観察されず、さらにインスリン顆粒の減少に伴いp-eIF2α及びGRP78の免疫染色性が減少し、脱分化に伴う細胞内ストレス軽減が推察された。これらの観察より、Wfs1欠損β細胞はストレスに対して脱分化することで適応生存するとも考えられ、ストレス存在下での代謝リプログラミングと脱分化誘導との関わりが推察される。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した研究をほぼ遂行することが出来ている。その中で、脱分化と膵β細胞機能障害との関連およびGLP-1 analogの治療意義を明らかにした。ストレス病態でのエネルギー代謝異常と脱分化との関わりについても解析を進めている。実験に必要な機器および試薬も準備されており、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでに得た研究結果より、細胞内ストレスによる脱分化誘導メカニズムの解明に着手している。ここでは細胞内ストレスによるエネルギー代謝不全に着目し研究を展開させる予定である。ミトコンドリア機能について電子顕微鏡を用いた形態解析を行うとともに、酸化能について細胞外代謝フラックス解析装置を用いて解析を行う。一方、TCA回路の障害ではピルビン酸からアセチルCoAへの転換障害が推察され、この反応を制御するピルビン酸脱水素酵素（PDH）の制御と細胞内ストレスとの関連に着目し解明を行う。ここでは、PDHに結合するストレス応答分子をすでに同定しており、遺伝子改変マウスも作出済みである。このマウスをWfs1欠損マウスと交配させた二重欠損マウスの解析を通じて細胞内ストレスとエネルギー代謝不全との直接的な関連を明らかにするとともにストレス病態における脱分化誘導メカニズムを解明する。
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| Causes of Carryover |
研究が順調に進み、動物購入費用、飼育費および試薬購入費が予定より少額となった。翌年度請求額と合わせて代謝解析およびミトコンドリア機能解析用キット購入費および実験動物の胚作製および個体作出費用として使用する。また、成果発表および情報収集を目的とし国内学会のみならず米国糖尿病学会および欧州糖尿病学会への参加旅費を計上する。
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Research Products
(8 results)
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[Book] 月刊 糖尿病2017
Author(s)
田部勝也、松永仁恵、椎木幾久子、谷澤幸生
Total Pages
9
Publisher
医学出版
ISBN
978-4-287-82098-8
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[Book] 月刊 糖尿病2017
Author(s)
椎木幾久子、田部勝也、谷澤幸生
Total Pages
9
Publisher
医学出版
ISBN
978-4-287-82097-1
