2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K09762
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 譲 横浜市立大学, 医学部, 講師 (00512980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40359609)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 膵β細胞 / アセチルコリン / 副交感神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)昨年度から引き続きムスカリニックレセプターアゴニストの膵β細胞量増加機序の直接作用の解析を行った。昨年度の解析にてIRS-2、Akt経路の関与が考えられ、β細胞増殖に関わるとされる下流分子、cyclin D2, PDX1, FoxO1、FoxMの関与について解析をすすめた。アゴニスト投与によりcyclin D2の有意な発現上昇を認め、IRS-2欠損マウスの解析からIRS-2依存性であった。IRS-2/Akt/cyclin D2経路の関与が考えられ下流分子PDX1、FoxO1と近年神経によるβ細胞調節に重要と報告されたFoxM1の関与の可能性つき解析を進めている。マウスに膵島においてPDX1、FoxO1、FoxM1の発現変化は認めなかった。FoxO1、FoxM1は核外、核内移行によって転写活性を調節していることが知られており、現在解析を進めている。 2)ムスカリニックアゴニストによる膵β細胞への間接作用の解析を行った。 野生型マウスにおいてムスカリニックアゴニスト刺激によりGLP-1分泌増加を確認しているが、この分泌はIRS-2欠損マウスの解析からIRS-2依存性であった。ムスカリニックアゴニストによるGLP-1分泌は腸管でIRS-2を介している可能性が考えられ、相互作用につき解析を進める。質量分析器を用いアゴニスト投与により増加する液性分子を網羅的に検索した結果、IGF-1や23個の蛋白増加を確認した。IGF-1については、ELISAを用い測定したところ野生型マウスでアゴニスト刺激にて増加していた。ムスカリニックアゴニストとIGF-1の相互作用について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところおおむね研究計画に沿って、実験を進めている。ムスカリニックアゴニストの膵β細胞への直接作用につき解析を進めることができた。質量分析器を用いた間接作用の解析で、既知のタンパクとして膵β細胞増殖に重要なIGF-1の増加を認めたため相互作用について解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
直接作用、間接作用の解析を継続する。FoxO1、FoxM1の核外、核内移行がアゴニストでおきるかを明らかにし、関与の可能性が考えられば転写活性の変化を測定する。質量分析器を用いた解析では、IGF-1の役割を明らかにするとともに他のタンパクが未解析であり、解析を進める。 平成30年に予定していた課題を解析する。消化管からのGLP-1分泌、肝臓由来と推測されるIGF-1分泌を確認しており多臓器が関与しβ細胞増殖が起きている可能性がある。これまでに確認しているアゴニスト投与による単離膵島、MIN6細胞のBrdU取り込みが、GLP-1、IGF-1を同時添加することで相加・相乗的に増加するかを測定する。また、脂肪組織とムスカリニックアゴニストに関する詳細な報告はないためレプチン、遊離脂肪酸、TNFα、IL-6、アディポネクチンなどのアディポカインに関し、ムスカリニックアゴニストで変化するかを測定する。アディポネクチンの関与が疑われれば、当研究室にあるアディポネクチン欠損マウスを用いさらに解析を行う。他細胞にてムスカリニックレセプターを介した細胞増殖作用は、EGF recptorを介しているとの報告があり、膵β細胞でも確認を行う。
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